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[MOM393]静岡学園MF大島僚太_さすがの存在感

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 静岡学園2-0宇和島東 ニッパ球]


1回戦は出場停止で出られなかった静岡学園(静岡)の大黒柱・MF大島僚太(3年)が選手権に初登場し、落ち着き払ったプレーで試合を支配した。

「1回戦に出られずみんなに迷惑をかけているので、自分がやらないといけないと思っていた」大島は、前半25分には先制ゴールをアシスト。
「ニアが空いていたので、蹴れば誰かが来るだろうと」

復帰戦にして早々と結果を残したわけだが、本人はどこか不満顔だ。
「意識していた展開ができていない。本来はドリブルを織り交ぜながらパスで相手を圧倒したい。もう少し味方のほしいところをわかってパスを出せれば…」
出てくるのは反省の言葉ばかり。

川口修監督も
「大島が入ることでボールの落ち着きは出たが、まだチームにフィットしていない。
パスを出すにも受けるにもワンテンポ遅い。久しぶりの試合だったので呼吸があっていないというか、いいところはまだまだ出せていない」
という評価だ。
来期から川崎フロンターレに入団する“逸材”への要求は高い。

それでも試合での存在感は際立った。
その理由としては、単純にボールに絡む機会が多い。ボランチのポジションでボールを差配するのだが、彼にボールが渡るとそのときだけ「時間が止まる」ような錯覚に陥るのが不思議だ。それだけボールのおさまりがいいということか。
そしてほとんどボールを失わず、効果的なパスを出したかと思えば、守備にも攻撃にも顔を出す。
「ボランチなのでスペースがあいているので前を向ける」のは、ゲームメイクをするうえで最もありがたいメリットだ。
「足はまだ痛みがありますけど、ゲーム勘は問題ありません。夢だった選手権のピッチに立てて嬉しいです。これからだんだんですね」
そう、彼の本気プレーはまだこれからだ。だからこそ、反省することを忘れたくない。
「今日は後半、前に蹴ればいいみたいな気持ちがチームに出てきてしまった。1回戦よりいいですけど、プレッシャーに負けてしまうところがあったので修正していきたい。攻撃は…全然ダメです」

静岡学園の流れだけでなく、ゲーム全体への影響力すら感じさせる大島の復帰はチームメイトにとっても頼もしい。この試合で1点目を挙げたMF長谷川竜也(2年)は言う。
「復帰したことでタメができました。それで全体の流れがよくなったことは確かです。自分も(攻撃に)行きやすくなりました」

試合後、静岡学園からは反省の言葉ばかりが聞かれた。
しかし大島の復帰で天下を取る可能性が格段にアップしたことは間違いではない。

[写真]静岡学園MF大島(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文/伊藤亮)


【特設】高校選手権2010

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