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[MOM397]山梨学院FW加部未蘭(3年)_新たな"怪物伝説"の序章

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 山梨学院3-1国見 柏の葉]

 完全復活のエースが名刺代わりの2発だ。山梨学院のFW加部未蘭(3年)が全国選手権初ゴールを含む2得点1アシストの活躍で全得点を演出した。

 前半21分、浮き球のスルーパスでMF白崎凌兵(2年)の先制点をアシストすると、同30分には右後方からのFKを頭でそらす。「あまりゴールは見えていなかった」というヘディングはGKの頭上を越え、そのままゴールマウスへ。同32分にも右サイドを突破した白崎からの折り返しを受け、左足で反転シュートをねじ込んだ。試合の流れを決定付ける連続ゴール。それでも「ラッキーな得点と、取らせてもらった得点」と謙虚に喜んだ。

 今大会に懸ける思いはだれよりも強い。初出場初優勝を果たした前回大会は、右足甲骨折の影響で6試合すべて途中出場にとどまった。ケガを押してスーパーサブとしての役割をまっとうしたが、自身は無得点。「去年は先輩たちに優勝させてもらった。うれしかったけど、悔しさもあった。今年は自分が引っ張って、自分たちの力で優勝したんだと言える大会にしたい」と力説する。

 高校生活はケガとの闘いだった。腰痛や股関節痛、中足骨骨折。万全な状態でいることの方がめずらしかった。「試合に出られない悔しさ、自分のプレーができない悔しさ」ばかりが募ったが、昨年からチームにトレーナーがついたこともあり、フィジカルコンディション面は大幅に改善。吉永一明監督は「昨年6月ごろからは1日も練習を休んでいない」と言う。「自分がどれだけできるか楽しみ」と、高校3年間で初めて万全のコンディションで臨んだ大会の初戦で、その能力の高さを見せ付けた。

 それでも「まだまだ自分のプレーは出せていない。今日も自分の力で取った2点じゃない」と満足はしていない。「人と違うこと、人が思い付かないようなプレーがしたい。前を向いたら1人、2人とぶっちぎって点を取るのが理想のゴール。これから上の舞台で、自分のプレーを出していきたい」。初戦の2発も、新たな“怪物伝説”の序章に過ぎない。3年間のたまりにたまったうっ憤を連覇という形で晴らすまで、貪欲にゴールを狙っていく。

[写真]2得点を決めたFW加部未蘭

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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