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[MOM398]流通経済大柏DF増田繁人(3年)_新潟内定の高き壁、完封発進

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 流通経済大柏 2-0 明徳義塾 フクアリ]

 流通経済大柏の本田裕一郎監督は試合後「よく我慢した」と振り返った。エースMF吉田眞紀人(3年)がコンディション不良のために先発を外れ、開始直後には右SB中西孝太(3年)が負傷退場。次々とアクシデントが襲い掛かってきたが、優勝候補は一度も相手にリードを許すことはなかった。途中出場のSB鈴木翔登やMF杉山賢史(ともに3年)の好守があった。そして「我慢した」ことに特に大きく貢献していたのは根気強く相手のロングボールを跳ね返していた189cmの大型CB増田繁人主将(3年、アルビレックス新潟加入内定)だった。

 本人は「もっとクリアをしっかりと味方の選手につながなければならなかった」と反省していたが、大会前に「自分が得意なのはヘディング。ここでは絶対に負けたくない」と誓っていた通り、189cmの長身を生かした空中戦では全く相手を寄せ付けず、余裕があれば頭で攻撃の起点となるパスを出した。この点は増田主将も「ヘディングは負けていなかったと思う」。また、相手に体を激しくぶつけられ苦痛に顔をゆがめる選手がいた中、何度も競り合いを繰り返しながら全く表情を変えずに戦い抜いた精神的強さも見逃すことはできない。

 すでに仮契約を結んでいたものの、大会開幕2日前の28日に新潟入りが発表。「大会直前の発表で気がそっちに行かないように気をつけた。『プロがあるから』と選手権がおろそかにならないように、選手権で悔いが残らないように、と決めている」と説明したCBは選手権だけに集中して大会に臨み、やや危ない場面もありながら無失点発進を果たした。

 09年は1月の新人戦で左足首を骨折。復帰目前に左ひざ軟骨損傷が発覚し、1年間を棒に振った。チームも予選準決勝で敗退。本人にとっては高校3年目で悲願の選手権舞台だ。米子北DFDF昌子源(3年、鹿島アントラーズ加入内定)、室蘭大谷DF櫛引一紀(3年、コンサドーレ札幌加入内定)が敗退したことでJ内定のDFで勝ち残っているのも増田主将だけ。「選手権を優勝して(2011年)いいスタートを切りたい」という増田主将は選手権V校のDFの柱として、そしてチームリーダーとして新潟へ進むつもりだ。

(取材・文 吉田太郎)
(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
【特設】高校選手権2010

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