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[MOM410]関西大一MF浅井哲平(3年)_失敗に屈しない前への姿勢で劇的ロスタイム弾!

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 尚志0-1関西大一 NACK5]

 苦難を自らの力で乗り切った。関西大一(大阪)のMF浅井哲平(3年)は後半2分、自らが奪ったPKを外した。チーム内では練習を含めてほとんど外したことがない“職人”で、G大阪のMF遠藤保仁のような“コロコロPK”を得意とするが、「GKの動きを蹴ったんですけど。先に飛んだから下を通そうと思ったら、相手の反応が良かったです」。この日は狙い澄まして右に蹴ったボールをうまくセーブされてしまった。

 約1年半前の練習試合で外して以来のことだそうで「ほんとにどうしようか思いました」と浅井。普通ならそこから気落ちしてプレーの精彩を欠く選手もいるし、気合が入りすぎて、逆にミスをする選手もいるが、やはり強豪の選手。並みの選手とはメンタルが違った。

 持ち味の前へ前への姿勢を発揮し、これが最終的に、後半ロスタイムの劇弾を生んだ。得意のスピード豊かなドリブルで突破を図り、FW井村一貴(3年)とのワンツーで抜け出して決勝点を奪った。佐野監督も「責任を感じたんでしょう。最後、自分でやってくれた」と頑張りを称えた。

 ゴールを決めた時間はロスタイムになったが、そもそも浅井は“勝利請負人”に任命されていた。攻撃のキーマンらしく、プレッシャーをはねのけて勝利に導いたのだ。前述の通り、鋭いドリブル突破でゴールに迫るプレーが武器だが、この日のハーフタイム、佐野監督からハッパを懸けられた。

 「後ろにいくな。前で勝負できてないぞ! この試合はお前と濱野(FW濱野友旗)がカギ握っているんだ!! 後半もそうなら代えるぞ! 」。期待されているからこその厳しいゲキ。浅井もすぐに自分のプレーを取り戻した。それが後半2分のPK奪取につながった。佐野監督は「自作自演ですね」と話したが、ヒーローになるべくしてなったと言っていい。

 「去年は先輩に4強まで連れてきてもらった。今年は引っ張らないといけないと思っています」。浅井は昨年も控え選手でメンバー入り。それだけに自らの立場をしっかり自覚している。準々決勝の相手の久御山(京都)も、同じように前へのドリブルが得意な選手が多いが、負けるつもりはない。再び持ち味を発揮して、勝利のキーマンになるつもりだ。 

[写真]関西大一MF浅井(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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