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[大学選手権]関西勢15年ぶりの頂点!!関西大が43年ぶり2度目の優勝

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[1.5 全日本大学選手権決勝 中京大1-2関西大 国立]

 関西勢が15年ぶりに日本一に輝く!! 第59回全日本大学サッカー選手権大会の決勝が5日に東京・国立競技場で行われた。中京大(東海2)と関西大(関西2)の一戦は、1-1でもつれ込んだ延長戦の末に、関西大のFW奥田勇太(1年)が決勝弾を決め、関西大が1967年度大会以来の日本一の座についた。

 先制点を奪ったのは関西大だった。前半19分、DF田中雄大(4年)の「狙い通りでした」という左クロスに頭で合わせたのはFW金園英学(4年)。DFを前に頭一つ抜け出ると、豪快なヘディングシュートを叩き込んだ。

 その後は中京大も果敢に攻めにかかる。FW斎藤和樹(4年)が1列下がってボールを受けると、幾度もドリブル突破からチャンスを作り、前線へパスを供給。しかし、関西大の守備陣に阻まれ、シュートまでが持ち込めない。前半終了間際には、DF中田智久(3年)のパスに右サイドを抜け出したDF森本良(4年)がシュートを狙ったが、惜しくもサイドネット。1点が奪えない。

 関西大の1点リードで迎えた後半、なんとかゴールの欲しい中京大は「負けている以上、点を取りに行かないといけない」と4バックから3バックへ布陣を変更。中盤で起点を作りにかかった。後半14分には斉藤のパスを受けたFW藤牧祥吾(3年)がGKと1対1に持ち込むが、GK金谷和幸(1年)がこれをストップ。同19分には、MF内田渉(4年)の右クロスに藤牧がダイビングヘッドを見せるが、枠外へ外れた。

 一方、ピンチをしのいだ関西大も1点を守りにいくことなく、攻め込んだ。後半1分にはFW藤澤典隆(4年)がPA外からポストを叩く一撃をみせ、同10分には金園がPA内左からシュートを放った。これはGK石川湧也(2年)の好セーブに阻まれたが、好機を作り続けて中京大に主導権を渡さない。

 しかし、後半ロスタイム4分に迎えたラストプレー。中京大に劇的な同点弾が生まれた。藤牧が倒されて獲得したゴール正面でのFK。これまでのセットプレーは全てMF佐藤和弘(2年)がキッカーを務めていたが、ここで名乗りを上げたのは途中出場のMF中村亮太(2年)。右足から思い切り良く放たれたボールは壁の上を抜け、ゴールネットへ突き刺さり、土壇場での同点ゴール。試合は延長戦へもつれこんだ。

 劇的な同点弾に盛り上がる中京大に対して、追いつかれた関西大は至って冷静。主将の藤澤が「まだ30分サッカーができるぞ!」と前向きな言葉を掛け、この一言に下級生も「こうやって言ってくれる4回生のためにも勝ちたい」と奮い立たされた。

 そして迎えた15分ハーフの延長戦。互いに激しいプレーの連続となるものの、なかなかスコアは動かない。しかし延長後半10分、DF櫻内渚(3年)のパスに抜け出したFW安藤大介(2年)がゴールライン際から右クロス。これにFW奥田勇太(1年)が頭で合わせて決勝弾を決めた。延長前半15分に投入された今大会初出場の1年生FWが、チームを日本一に導くゴールで、監督の起用に応えて見せた。そのまま逃げ切った関西大が1967年度大会以来となる2度目の優勝に輝いた。

 試合後、関西大の島岡健太監督は「中京大さんと互いに力を出し合った中での結果。今回は僕たちがたまたま勝てた。こういう互いに力を出せあえる相手に巡り合ったことが良かったです」と笑顔で話した。

 今夏に地元・大阪で行われた総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントでは、関西勢3校全てが初戦敗退。近年の全国大会では関東勢や九州勢に苦杯をなめていたからこそ、この冬の日本一決定戦で関西勢が優勝したことには大きな意味がある。

 悲願の日本一に輝いた関西大だが、すでに島岡監督は「ここからが大事。日々努力して頑張っていきたい」と一言。主将の藤澤も「下級生が試合にたくさん出ていますが、この優勝で鼻が伸びていないか心配。自分自分とならずに関西大の代表として自分がどうあるか考えて行動していってくれれば。サッカーだけでなく人として思いやりをもって取り組んでほしい」と早くも後輩たちへエールを送った。関西大は決勝の登録メンバーの内、その半数が1年生。関西のタレント軍団の進撃は来季以降も続いていきそうだ。

(取材・文 片岡涼)
第59回大学選手権特集

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