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[MOM416]滝川二MF本城信晴(3年)_総体全国準Vになかった力“ダブル・ブルドーザーの影”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 日章学園 0-3 滝川二 三ツ沢]
 
 滝川二の全国準優勝を複雑な思いで見つめていた男が、国立切符獲得の立役者となった。滝川二のMF本城信晴(3年)はチーム1、2を争う持久力を持つサイドアタッカー。この日は前半8分にFW浜口孝太主将(3年)がDFと競ったこぼれ球に「あの2人(浜口と樋口の2トップ)が競ったらそんなに簡単には跳ね返されえないから」と落ちどころを予測してボールを拾うと、短いドリブルから右足を一閃。「思い切って打ったら入った」とミドル弾をゴールへ叩き込んだ。
 
 FW樋口寛規(3年)へ先制アシストした3回戦・青森山田戦に続く貴重な活躍。2トップに注目が集まる中で大仕事をしてのけている。もっと周囲からの視線を集めてもよさそうだが、本人は“ダブル・ブルドーザー”と注目されている2トップの影の役割を満喫しているようだ。「(2トップに注目が集まれば)逆においしい。注目が集まれば集まるほど自分のマークが緩くなりますから」。2トップの陰から現れる“第3の男”。そのMFは浜口主将が「守備でもハードワークしてくれている」と讃えたように中盤で抜群の運動量を発揮し、また鋭い飛び出しでゴールに迫るなどこの日も攻守で勝利に貢献した。

 今夏の全国高校総体でチームは初の決勝進出。4試合で勝利し、準優勝に輝いた。ただ室蘭大谷(北海道)との初戦で先発していた本城の出場時間は1試合61分間のみ。実は室蘭大谷戦で右足首を捻挫し、その後は出場が見送られたからだ。「チームが勝っていくのはうれしいけど悔しい面があった。だから今回の全国で頑張ろうと思っていた。点は常に狙っていきたい。怖い選手になれるようにする」。

 全国準Vの総体になかった力。それが本城だ。この日、力強いガッツポーズでゴールを喜んだ背番号9が、全国総体で叶わなかったあと1勝を果たすための最後のピースになる。

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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