beacon

[選手権]「ここに立ちたかった」流経大柏、新潟入りCB増田主将負傷欠場響く

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.8 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏2-2(PK2-3)久御山 国立]

 目の前に広がっていた国立のピッチは近いようで遠かった。流通経済大柏(千葉)のCB増田繁人主将(3年)は前日練習で空中戦の落下時に他選手の足を踏んでしまい、右足首を捻挫。痛み止めの処置を施してベンチには入ったが、よりよい状態で決勝の舞台に立つために、この日の起用は見送られた。ただ新潟加入内定の189cmCBでチームを鼓舞する闘将が不在のチームは2失点でPK戦の末に敗退。増田主将は憧れの国立競技場のピッチに立つことが叶わないまま高校サッカー生活を終えた。

 「(負傷は)自分の不注意なので。国立に立てなかったことは悔しい。みんなが決勝の舞台に連れて行ってくれると。(ベンチで)同じ気持ちで戦っていた」。副主将のCB鈴木翔登(3年)に「精神的な支柱になれるように」とキャプテンマークを託した。ただこれまで圧倒的な高さと闘争心で相手の攻撃を跳ね返してきた増田主将不在の影響は大きかった。これまで右SBとして出場を続けてきた鈴木は急遽CBでの先発も前半途中で交代。前回王者・山梨学院をシュート5本に封じたチームがこの日はシュート14本を浴びた。チームは2度のビハインドを追いつき、PK戦にもち込んだが意地を見せたのはここまで。「(試合後)一人ひとりと話して『(勝てずに)ゴメンな』とかけてもらったし『今までありがとう』と言葉を返した」。増田主将は気丈に立ち振る舞ったが、その目は涙で赤く染まっていた。

 試合終了後、応援団への挨拶のために増田主将は国立のピッチを踏んだ。「最後、周りを見渡してみた。言葉に言い表せないようなものを感じた。ここに立ちたかった」と悔しさが募った。「もう一度、この舞台に立てるように。このレベルの試合で、このピッチに立てるようにプレーしたいと思う」。この日立つ事が叶わなかった国立のピッチに新潟、そして日本代表の選手として必ず戻ってくる。

[写真]3位の表彰を受ける流通経済大柏CB増田(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

TOP