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日本vsカタール 試合後の監督会見要旨

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[1.21 アジア杯準々決勝 日本3-2カタール アルガラファ]

 日本代表は21日、アジア杯準々決勝でカタール代表と対戦し、3-2で逆転勝ちした。前半13分に先制点を許すと、同29分にMF香川真司のゴールで追い付いたが、後半18分にDF吉田麻也が1試合2枚の警告で退場。数的不利に立った上に直接FKを決められ、1-2と勝ち越された。それでも、同26分に香川が再び同点弾。試合終了間際の同45分にはDF伊野波雅彦が劇的な決勝点を決めた。
以下、試合後の監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「難しい試合になることは試合前から予想していた。日本は尻上がりに良くなっていた。カタールはフィジカルで日本を上回り、それを前面に押し出してきた。いかにテンポを上げ、スペースのあるところでボールを回すプランだったが、できたところもできなかった時間もあった。狭いところへ行ってしまうと、相手のフィジカルに押しつぶされてしまうので、もっと広いところでやろうと話していたが、まあまあできたと思う。10人になっても相手を上回り、技術面だけでなく、ハートのプレーを見せてくれた。10人でも勝ちにいった。その証拠にDFが決勝点を決めた」

―ハーフタイムでの指示は?
「前半のミスを修正しようと選手に伝えた。1つはPA外のこぼれ球。カタールは23番(セバスチャン)に当てて、そこからセカンドボールに詰めてきた。うちのDFとMFには『セカンドボールを先に触るぞ』と伝えた。2つ目は、スペースの狭いところにどうしても行ってしまうので『スペースをつくって広いところでうちのサッカーをしよう』と話した。前後半の相手の立ち上がりの良さは分かっていた。これは相手を褒めるべきだと思う。カタールはこれ以上ない力を出してきた。我々は相手の嫌なところを突き、相手も特徴を前面に出してきた。ただ、自分たちのミスから点を取られたので、そのケアは必要だと思う」

―1-2になって選手をどう鼓舞したのか?
「鼓舞するというより、チームのバランスを保つことを心がけた。前田に代えて岩政を入れ、4人のDFを保った。中盤に2人、アタッカーに3人。長谷部や伊野波、長友には順番に上がって攻撃に参加するよう指示した。守備のことだけを考えず、勇気を持って攻めた。それが結果につながったと思う。10人になって選手も疲れてきて、香川、岡崎、そして伊野波もいつもと違うポジションで疲れもあったが、よくやってくれたと思う。相手は数的優位に立っても攻撃の形を変えず、23番に当ててこぼれ球を狙ってきた。それも我々には有利になったかもしれない」

―メツ監督は「日本がカタールを怖がっていた」と話していたが?
「相手に敬意を払わねばならない。カタールは開催国だし、勢いはあった。我々がやってはいけなかったのは、相手の土俵に上がること。フィジカルのつぶし合いになったら、日本が不利になると伝えていた。狭いスペースではなく、広いところで自分たちのサッカーをやらないといけないと思っていた。常にそれができていたわけではないし、状況によってもっとスピードを上げないといけない。DF間でのパスが多く、なかなか前に進めないときもあった。ただ、カタールもいい出来だったし、相手もいることなので、仕方がないと思っている。もう1つの課題は2失点目。そんなに強いシュートではなかったし、あれがゴールになったのは我々に反省すべきところがあったからだと思う」

―自分の采配には満足しているか? イタリアの采配は世界でもトップレベルにあるか?
「世界的に見て、イタリアの指導者は守備重視で、自分たちの良さを出すよりも、相手の良いところをつぶしていくというイメージが一般的だと思うが、そうではないイタリア人もいることを発信できたと思う。私は日本代表の監督になったときから、勇気とバランスを持って戦ってくれと伝えてきた。今後も相手がどこであれ、相手の力に左右されることなく、勇気を持って日本のサッカーをやっていきたい」

―今日の香川は2000万ユーロ(約22億4800万円)の価値のあるプレーをしたか?
「私は強化部長ではないので、選手に値段を付けることはできない。私は監督なので、ピッチで何ができるか、チームに何を与えてくれるかということを考えている。前のポジションの選手が多くない中で、サイドから中央へ切れ込むアタッカーとしての役割を担っている。彼のプレーには満足している。前半は中盤に下がることが多くて、彼の良さを生かせていなかったが、後半はワイドに開いて、彼らしいプレーができていた。チームのために貢献してくれるいい選手だと思う」

―韓国とイラン、どちらがやりやすいか?
「まず、この場を借りて岡崎に2人目の子供が生まれたことにおめでとうと言いたい。ここまで来たら強いチームしか残っていない。特徴は違っても、どこが来ても大差はない。我々がどれだけ最後まで残りたいという気持ちを持てるか、相手よりもいい部分を出せるかということを考えたい」

(以下、ミックスゾーンでの囲み取材)
「試合前、選手にはアウェーでも勝ち切らないといけないという話をした。日本でやるときだけでなく、外でやるときも勝たなければいけない」

―ミラクルな試合だったが?
「ミラクルではないが、10人になってもうちの選手は力がある。引かないで自分たちのサッカーをした。岡崎、本田、香川の3人を攻撃に残した。怖かったのはカタールがボールを回してくること。しかし、相手のサッカーは変わらず、23番に当ててきた。それはうちにとって良かった。相手がボールを回してきたら、さらに難しくなっていた」

―香川にゴールが生まれたが?
「ゴールも大切だが、彼にはゴールだけしてくれとは言ってない。チームのためにやってくれと話しているし、チームのことを考え過ぎて引き過ぎることもあったが、犠牲心を持ってやってくれている」

―優勝は見えてきたか?
「次、準決勝をやれることが決まっただけ。あと2試合やれることが決まった。今は回復に努めたい」

―審判の判定については?
「特にない。ただ、次は11人で終わりたい(笑)」

[写真]日本代表ザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

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