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逆風はねのけ2戦連続の救世主に、川島「ミスを引きずっていたら前に進めない」

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[1.29 アジア杯決勝 日本1-0(延長)オーストラリア カリファ]

 守護神のビッグセーブがなければ、優勝はあり得なかった。被シュート20本、そのうち枠内シュートは8本。そのたびにGK川島永嗣(リールス)が立ちはだかった。

 自身が先発した試合では今大会初完封。「数字もだけど、勝つことしか考えていなかった。1点がゲームを大きく左右するのは分かっていた。その意味でゼロで終われたのは良かった」と胸を張った。

 前半19分、CKからFWケーヒルの放ったヘディングシュートをMFキューウェルが頭でそらす。至近距離で軌道が変わったシュートを鋭い反応で弾いた。後半27分にはキューウェルとの1対1を右足1本でセーブ。同42分にはDF今野泰幸のバックパスが弱くなったところを果敢に飛び出し、キューウェルのシュートを体で防いだ。

 延長前半14分にもFWクルスの決定的なヘディングシュートに右腕を精一杯伸ばしてかき出す。「クロスとかセットプレーで相手にチャンスが来ることはイメージしていた。クロスに対して躊躇なくプレーできた」。決勝のマンオブザマッチにも選ばれた川島は、それでもチームメイトに感謝した。

 「ロングボールにも体を付けて、簡単にやらせなかった。最後の最後まで我慢してプレーできた。若いチームで臨んだことで、試合の中で経験のなさもあったけど、みんなでカバーする意識がすごいあった」

 出場停止の影響で毎試合のように変わるDFライン。連係を深める時間もなく、1試合1試合がぶっつけ本番だった。呼吸が合わず、DFとかぶってピンチを招くシーンもあった。準々決勝・カタール戦(3-2)では自身のミスもあり、2失点。批判を浴びる中、準決勝・韓国戦ではPK戦で2本セーブして勝利の立役者となり、決勝でもビッグセーブを連発した。

 「ミスもあるけど、それを引きずっていたら前に進めない。常にゴールを守るために、味方にぶつかっても、敵にぶつかっても、ゴールを守るためにプレーした」

 逆風をはねのけ、2試合連続でチームを救った。「GKはミスも目立つし、批判にさらされやすい」。そうかばったアルベルト・ザッケローニ監督は「私は彼を信頼していた。メディアに批判されていたのなら、それを払拭できてよかった」と手放しで称えた。

 「今大会を通じて、自分自身、まだまだ経験しないといけないなと感じた。頭では分かっていても、経験しないと分からないこともある。こういう大会を通して、もっともっと成長したい」。大会直前に正GKを任された南アフリカW杯とは異なるプレッシャーもあった。1試合ごとに頼もしさを増した背番号1。川島が名実ともに日本の守護神となった。

[写真]ハイクロスに飛び込むGK川島

(取材・文 西山紘平)

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