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[MOM457]静岡学園GK福島春樹(3年)_選手権王者敗退へ追い込むPKセーブ

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平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[7・29 全国高校総体2回戦 静岡学園1-1(PK4-2)滝川二 仁賀保グリーンフィールド]

 70分間のプレーについては決して満足していない。試合後は「きょうはどんなシュートも絶対止めるつもりでいた。納得していない」と反省のことばばかりが口をついた。ただ、静岡学園を16強へ導いたヒーローは間違いなくGK福島春樹(3年)だった。

 1-1で突入したPK戦。「『やってやろう』という気持ち。(細かいことは)何も考えないで気楽に守った」という福島が得意のPK戦で輝きを放つ。滝川二の一人目、MF槙島隆介のシュートを右へ跳んでストップ。圧倒的な威圧感で滝川二のキッカーたちと対峙した福島は二人目のMF恵龍太郎のシュートも左へ跳んではじき出す。そして歓喜の雄たけび。この連続セーブでリードを奪ったチームは4人全員がキックを成功し、4-2で勝利を決めた。選手権王者を敗退へ追い込んだ福島は歓喜のダッシュ。イレブンは福島の下へ次々と駆け寄ってそのビッグセーブを讃えていた。

 ただし試合後に納得した表情を見せなかったように、1失点した福島は自分らしさも出し切れていなかった。小池公人GKコーチは「キレイにやりすぎているところがある。春樹はガツガツやらないといいところが出ない」と厳しく指摘。昨年の全日本ユース(U-18)選手権で静岡学園の4強進出に大きく貢献した先輩守護神・一ノ宮聖(現桃山学院大)はセンスの高さを活かした守りと判断力でピンチを防いでいたが、福島は憧れの先輩のスタイルを取り入れようとしすぎたあまり、最大の良さであるがむしゃらさを全て発揮できていなかった。

 この日喫した失点も、PAへ侵入した相手FW札場健太に対して「絶対に自分が止める」という意識がやや欠けてしまっていたか、やや飛び出すタイミングが遅れてしまい、シュートをゴールへねじ込まれてしまった。ただ、チームを救ったPKセーブによって、自分自身も波に乗ることができるか。「コーチングでチームを盛り上げていいサッカーできる環境をつくりたい。1試合でも多くの経験を積んで帰りたい」。その声だけでも存在感を放つことのできる「魂の守護神」。先輩GKのよさを取り入れつつ、自身のがむしゃらな姿勢も全面に出して今後の試合では絶対にゴールを与えない。

(取材・文 吉田太郎)

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