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[MOM462]東京VユースFW南秀仁(3年)_連覇を決めた値千金の決勝ゴール

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 日本クラブユース選手権(U-18) 東京Vユース1-0神戸U-18 ニッパ球]

 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、東京ヴェルディユースのFW南秀仁はピッチの上に倒れこんだ。値千金の決勝ゴールを決めたエースFWの胸には、長く辛いリハビリの時期と大切なチームメイトたちとの切磋琢磨した日々への思いでいっぱいだった。うれし涙は止まらず、しばらくの間、天を仰いだ。駆け寄ったチームメイトに起こされると、ようやく涙をぬぐって笑顔をみせた。

「リハビリも長かったし、このメンバーで決勝をやりたいという思いがあった。それにみんな本当にアツいので。絶対にこのメンバーで日本一を取りたくて。それが達成できて、色々と込み上げてきちゃいました」

 前半8分、MF楠美圭史からのパスを相手陣内中央で受けると、ドリブルで仕掛けていった。シュートコースを探しながら、左サイドへ流れていくと、右サイドにはフリーの味方もいたものの、PA手前から迷いなく左足を一閃。「ゴールしか見えてなかった。とにかく最初だし、どんどんシュートを打っていかないと」と強い思いを胸に放ったシュートは、ゴールネットへ突き刺さった。これが決勝点となり、東京Vユースは2年連続14回目の優勝に輝いた。

 昨年のJユース杯で故障を押して強行出場したことなどがたたり、股関節を故障。昨年末から長期に渡るリハビリを強いられていた。4月頃には、あと1週間で復帰できると一度は伝えられたこともあったが、病院で検査をすると、完治しておらず。復帰時期の見通しすら立たない中でのリハビリに、強く打ちのめされる日々が続いた。

 また、南とは対照的にチームメイトのMF杉本竜士はU-18J選抜やU-18代表候補に選出され、順調にステップアップ。トップチームへ帯同して、Jデビューを果たすなど、まさに上り調子だった。「今年は竜士とオレが引っ張っていかないといけないと思う」と開幕前には意気込んでいたが、自分はサッカーすらできない日々。

 心のなかでは悔しさや、ケガに対する憤りもあった。それでも自宅で涙を流すこともあったが、チームメイトや後輩の前では気丈に振舞った。オフにもクラブハウスを訪れ、上半身のトレーニングなど、自分にできる最大限のことを行った。そして、今大会前に待望の復帰。初戦で2ゴールを決めると、今大会では6得点の活躍で得点王にも輝き、完全復活を果たしてみせた。

 これからの活躍が大きく期待されるストライカーは、今後へ向けて「まずはプレミアリーグの初代チャンピオンになって、その先は欲を言えばJユースでも優勝したい」と力を込めた。未だにコンディションは「20%くらい」だが、同年代の大会では圧倒的な決定力を示してみせた。まだまだ南の復活劇は始まったばかり、ここから飛躍のシーズンにしていくつもりでいる。

(取材・文 片岡涼)
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