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[MOM464]流通経済大柏MF古波津辰希(3年)_帰ってきた大黒柱

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平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.1 全国高校総体準々決勝 流通経済大柏2-0新潟明訓 男鹿総合運動公園陸上競技場]

 待ちに待ったピッチで躍動している。流通経済大柏(千葉2)のU-18日本代表候補MF古波津辰希(3年)は今大会4試合連続で先発。後半7分にはMF中村優仁の右アーリークロスをダイビングヘッドでゴールへと押し込み、初戦の羽黒戦に続くゴールでチームを勝利へと大きく近づけた。

 苦しい日々を乗り越えた。2年生レギュラーとして1月の全国高校選手権4強に貢献する活躍を見せた古波津は今年、U-18日本代表候補に選出され、チームでもリーダー格として活躍を期待されていた。ただ、東日本大震災が発生した3月11日の午前練習中に右足第5中足骨を骨折。3月16日に手術した古波津はその後ピッチから遠ざかった。我慢の日々。全国をかけた総体の千葉県大会の準決勝までの3試合こそ出場したものの、全国リーグは前半戦全9試合を欠場することになった。

 だからこそ今回の全国総体が新チームになって自身初の全国舞台。チームは全国リーグで不振が続いていたが「自分から見て、ずっと負けが続いていて、戦う姿勢が見られなかった。でも戦う姿勢があればもっといけると思っていた」。チームの戦う姿勢を補うために誰より声を出し、局面でのスライディングタックルなど身体全体でチームを引っ張る姿には名将・本田裕一郎監督も「古波津が中盤に入るとピリッとする」と効果を口にしていた。

 そして10番を背負うMFは中盤でハイプレッシャーをかけ続け、また攻撃の軸としてボール捌き、3列目からの飛び出し、そしてゴールと大車輪の活躍を見せている。新潟明訓戦でも気温25度のピッチ上でひとり長袖のユニフォームを着てプレー。沖縄出身のタレントは暑さを感じさせず、攻守における絶大な存在感でチームを勝利へと導いた。

 ただボルトの入っている足はまだ万全ではない。指揮官が「隠れて痛み止めを飲んでるんですよ。聞くと『大丈夫』としか言わないけれど」と心配するが、本人は「念のために飲んでいるだけ。自分が怪我したことで今年は最初から出ることができなかった。(迷惑をかけたきたからこそ)勝負はインハイ。(ベスト16で敗れた)昨年の借りも返したい」と決意を抱いて大会に臨んでいる。
 
 チームを大事なところで救う。今大会開幕前「得点王を狙っていた」というほどゴールへの強い意欲。「自分がやらないといけない」という強い思いがプレーからにじみ出ている。「(5得点の)田上が調子いいですけれど、自分もあきらめずに狙っていく」と宣言。復帰を待望されてきたMFは自らのゴールで、プレーでチームを08年以来の優勝へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

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