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37年ぶりの大勝、長谷部「日本にかなわないという意識を植え付けられた」

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[8.10 キリンチャレンジ杯 日本3-0韓国 札幌ド]

 歴史的大勝に選手も拍子抜けだった。宿敵・韓国に3-0快勝。シュート数23本対20本と、終盤はオープンな展開となり、相手の決定機ミスに救われる場面もあったが、3-0とするまでは完璧な試合内容だった。

 日韓戦で1試合3得点以上を記録したのは1967年10月7日のメキシコ五輪予選(3-3)、1974年9月28日の第3回日韓定期戦(4-1)以来、3度目。37年ぶりの大量得点となった。

 とはいえ、FW香川真司が「3-0で勝ったのはよかったけど、参考にならない。韓国はアジア杯とは違った。今回は親善試合で、そういう意味で100%ではなかった」と指摘したように、前線からのプレッシャーも球際の強さも、いつもの韓国のような厳しさがなかった。

 ザッケローニ監督就任2戦目となった昨年10月12日の対戦では、敵地・ソウルに乗り込み、0-0のスコアレスドロー。今年1月25日のアジア杯準決勝では2-2からPK戦にもつれ込む死闘の末、競り勝った。90分間では2戦2分だったライバルに3-0という文句なしのスコアで“決着”を付けたが、選手たちが手放しで喜ぶことはなかった。

「正直、向こうの怖さはまったくなかった。韓国、どうしちゃったのかなと」。MF長谷部誠ははっきりと言う。「パク・チソンが抜けて、ケガで何人かいなかったけど、今日の韓国はうまくいかない感じだった。自分たちがよかったのもあると思うけど」と振り返り、MF遠藤保仁も「ザックさんになってから一番手応えのない韓国だった。自分たちが成長しているのかは分からないけど」と淡々と話した。

 それでもFW岡崎慎司が「終盤はパワープレーでやられていたし、失点してもおかしくなかった。最後の方は大量リードしていたこともあって軽いミスがあったけど、あれがW杯予選では一番怖い」と指摘したように、なりふり構わず反撃に出た韓国に何度も決定機をつくられたのも事実。「韓国はまだまだ底力がある」という岡崎の言葉は選手全員の思いだろう。

 一方で、この大勝の持つ意味も大きい。昨年5月24日、南アフリカW杯の壮行試合として埼玉スタジアムで行われた韓国戦は0-2の敗戦。スコア以上の完敗で、W杯を目前に日本中が絶望的な雰囲気に突き落とされた。長谷部は「サポーターの皆さんには気分よくなってもらえて、少しはあのときの借りも返せたのかなと思う」と胸をなで下ろすと、「今日は韓国に『日本にはしばらくかなわないな』という意識を植え付けられたことが一番大きい」と力説した。今後もアジアでしのぎを削っていく永遠のライバル。37年ぶりの大勝は、日本に自信を与えるとともに、韓国に苦手意識を持たせることにもなるはずだ。

(取材・文 西山紘平)

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