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勝てない浦和、山田直は涙……「自分は何をしているんだろうって……」

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[9.11 J1第25節 浦和0-1山形 埼玉]

 込み上げてくるものがあった。戦力、資金力では圧倒的に上のはずなのに、浦和レッズは開始2分に失点し、山形に0-1で敗れた。これで4戦白星なしで14位……。残留争いに足を突っ込んでいる。U-22日本代表MF山田直輝は試合後の場内一周後、人目をはばからず涙を流した。

「まず、この順位にいるチームじゃないってこともあるし、その順位にいるチームですら、自分が試合に出れてない不甲斐なさだったりがあった。僕がサポーターとして見てたら、こんな試合、スタジアムで見る試合じゃないなと思ってると思う。それでも、サポーターの方々は足を運んでくれて、僕の名前を呼んでくれて『がんばれ』と言ってくれた。それで、自分は何をしているんだろうって考えて……、いろいろ考える所がありました」

 山田直が涙のわけを明かした。自身がフル出場しての敗戦ではないだけに、うまくコントロールできない様々な複雑な感情が吹き出した。前節のC大阪戦は出場停止のため欠場。山形戦は先発復帰できるだろうという思いはあったが、結果はベンチスタートだった。そんな悔しい気持ちの中、前半2分に空中戦からのこぼれ球を拾われて先制を許してしまった。前半21分にトップ下のFW田中達也が負傷交代したときも、呼ばれたのはFWデスポトビッチ。流れが悪いまま、自身のいない試合は進んでいった。

 山田はベンチで試合を見ていて「こういう所が良くないというより、良い所が一つもなく試合が流れていた。いい所がないなりに、0で押さえていれば何かあったと思うけど、入りが良くなくて、そのままズルズルいってしまった」と感じたという。募る悔しさ、いらだち、不甲斐なさ……。いろんな思いが重なる中、後半25分、ようやく3枚目の交代カードとして呼ばれた。トップ下に入り、何とか2点を導いて勝ち点3をもたらそうと考えたが、思うようにはいかなかった。

「時間はあったので2点取りに行く気持ちはあったんですけど、なんというか、簡単なミスだったり……。サッカーをする、しないの前に、そういうミスが多かったので、点を取りに行く準備すらできないで終わってしまった。自分が入ったら活性化させて、前からどんどんゴールに向かって行きたかった。でも、それをするのも難しい状況だった」と山田直は嘆くしかなかった。

「もう勝点を取るしかないんで。どういうサッカーをやりたいとか言っている場合でもない。今年はJ1残留ということを目標にしないといけない。その目標を選手だけが理解するんじゃなくて、チーム全体で、自分のためじゃなくて、チームのため、みんなのために、浦和レッズに携わっている人、全員がやらないといけないと思う」

 山田直はまるで悲痛な叫びのように声を振り絞った。14日のナビスコ杯・大宮戦を経て17日には清水と対戦する。その時まで、必ず先発を勝ち取り、チームに5試合ぶりの歓喜をもたらす-。そしていち早く残留争いから脱出させる-。涙が引いた山田直の表情からは、そんな強い決意が感じられた。

(取材・文 近藤安弘)

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