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同点ヘッド弾に技あり逆転弾、清武「取られたら、取り返すぞとやっていた」

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[9.14 ACL準々決勝第1戦 C大阪4-3全北現代 長居]

 激しい点の取り合いを制し、4-3でセレッソ大阪が先勝した。歓声と悲鳴が何度も飛び交った長居スタジアムに、この日最高のボルテージをもたらしたのは、やはりこの男だった。A代表はもちろんのこと、U-22日本代表としても活躍しているMF清武弘嗣が、逆転の決勝弾を含む2得点の活躍を見せた。

「取られたら、取り返すぞとやっていた。自分がしっかり決めないといけないと思った。前半にも外してるし……。あれを決めていればもっと楽な試合になっていた。そういう気持ちでやってました」

 まずは1-2の後半11分だった。右CKのチャンスで、酒本憲幸のキックに、中央ややファーサイドに清武が飛び込んだ。「ヘディングは苦手じゃないんで」と振り返った通り、大型DFの背後にうまく回り込んでジャンピングヘッド。豪快に叩きつけてゴール左に突き刺し、2-2の同点に導いた。

 このヘディングシュート。キックの精度も高かったが、清武がコースを指示していた。「ハーフタイムに、DFがゴールエリアにけっこう入ってるんで、外に上げてくれと清武に言われた。意識して上げた」と酒本。長身ぞろいの選手が多く、清武にはマークが緩かったが、それを見逃さない。あざ笑うかのようなコンビプレーだった。前半の34分には、FW播戸竜二のラストパスからGKとの1対1のシュートを外していたが、帳消しにする一発となった。

 しかし、この2分後、C大阪はセットプレーで失点を許し、再び勝ち越されてしまった。だが、清武ら攻撃陣は精神的に崩れることはなかった。2-3の後半19分にMFキム・ボギョンがPKを決めてC大阪が3度目の同点に追いつくと、さらに勢いに乗る。

 そして後半36分、清武が大仕事をやってのけた。再び右サイドでCKを得て、キッカーも酒本が務めた。今度は「相手DFがゴールエリアに入っていたので。目が合った」と振り返る酒本がサインを送り、それに清武が気づく。すると、グラウンダーのボールが入り、清武が中央に走り込んで右足一閃。ゴール左下に決めて4-3の逆転に導いた。清武は「練習通りです。練習で一回も入ってないんで、入って良かった」と笑みを浮かべた。

 もともと技術の高い選手だが、メンタル面の成長がこの日の2発を生んだといえる。8月の韓国戦で日本代表に初選出され、途中出場で2アシストの結果を残すと、今月上旬のブラジルW杯アジア3次予選でも続けて選出。北朝鮮戦(1-0)、ウズベキスタン戦(1-1)と2試合で途中出場し、北朝鮮戦ではDF吉田麻也の決勝弾をアシストした。

 アジア王者として、勝たなければいけないとう重圧のかかるW杯予選を2試合経験し、結果も出したわけだが、ここで培った自信がACLでも発揮された。清武は「W杯予選を経験したことでメンタル的に楽にいけた? そういう気持ちもありました」と振り返った。取られても取られても、不屈の精神力で取り返す-。この強い気持ちはアスリートとして一番大事なもの。それをさっそく、C大阪でも発揮した形だ。

 次戦は27日にアウェーで行う。C大阪は、引き分け以上で準決勝に進出できる状況となった。しかし、引き分けを狙うつもりは毛頭ない。全北現代は1-0や2-1勝利でも、逆転で準決勝に進めるため、ホームで攻撃的に来ることが必死。C大阪は受け身になるのではなく、持ち味の攻撃サッカーで打ち合う覚悟だ。

「勝つだけだと思う。チームはいい状態ですし、前の選手は若くていい選手がいるし、バンさん(播戸)もいます。そういう選手がもっともっと点を取れば楽に勝てると思う」と清武は強気に宣言した。日々、成長を遂げているアタッカーは、唯一残る日本勢の“希望の星”となるべく、自らのゴールでC大阪を勝たせる。

(取材・文 近藤安弘)

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