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3-4-3も憲剛トップ下の4-2-3-1も物足りず…ベトナムに消化不良の辛勝

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[10.7 キリンチャレンジ杯 日本1-0ベトナム ホームズ]

 格下相手に物足りない辛勝だった。日本代表は7日、キリンチャレンジ杯でベトナム代表と対戦。前半24分、FW李忠成(広島)が先制点を決め、1-0で勝ったが、格下相手に1得点にとどまった。前半は3-4-3、後半はMF中村憲剛(川崎F)をトップ下に置く4-2-3-1を採用したが、消化不良のままタイムアップ。11日のW杯アジア3次予選・タジキスタン戦(長居)に向け、不安を残す強化試合となった。
 昨年10月8日のアルゼンチン戦(1-0)で初陣を飾ったザッケローニ監督は、就任からの国際Aマッチ連続無敗記録を14に更新。さらに岡田武史前監督が指揮していた昨年6月24日の南アフリカW杯・デンマーク戦(3-1)以降、国際Aマッチ18試合連続無敗(11勝7分、PK戦は引き分け扱い)となり、代表史上歴代1位の記録をさらに更新した。

 日本は6月のキリン杯以来となる3-4-3のシステムをスタートから採用。9月6日のW杯アジア3次予選・ウズベキスタン戦(1-1)からは先発6人が入れ替わった。DF伊野波雅彦とDF長友佑都は6月7日のキリン杯・チェコ戦(0-0)以来、4試合ぶりの先発。FW藤本淳吾は1月29日のアジア杯決勝・オーストラリア戦(延長1-0)以来、国際Aマッチ6試合ぶり、GK西川周作が1月17日のアジア杯・サウジアラビア戦(5-0)以来、国際Aマッチ9試合ぶりの先発となった。DF槙野智章とMF細貝萌は原博実監督代行が指揮した昨年9月7日のグアテマラ戦(2-1)以来の先発で、ザッケローニ監督就任後は初先発となった。
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 6月7日のキリン杯・チェコ戦(0-0)以来となる3-4-3で臨んだ日本。不慣れなシステムの影響か、選手間の距離が遠く、ベトナムを攻めあぐねる時間が続いた。前半7分にMF長谷部誠がミドルシュートを狙うが、DFが体を張ってブロック。ラストパスがかみ合わず、なかなかチャンスをつくれなかった。

 日本にようやく決定機が生まれたのは前半20分。藤本が右サイド後方から最終ラインの裏を狙うロングパス。これにFW李忠成とFW香川真司の2人が反応し、背後から走り込んだ香川がトラップからシュートを狙うが、トラップが大きくなり、左足のシュートはミートし切れず、ゴールラインぎりぎりでDFにクリアされた。

 得点にはつながらなかったが、初めて決定的なチャンスをつくり、日本が勢い付く。前半24分、長谷部のスルーパスに反応した藤本がスピードでDFを振り切り、PA内右に走り込むと、冷静にマイナスに折り返し、フリーの李が右足ワンタッチでゴールに流し込んだ。李のアジア杯決勝・オーストラリア戦以来となる得点が貴重な先制点。3-4-3で戦ったキリン杯2試合はいずれもスコアレスドローだったため、ザックジャパンにとっても3-4-3のシステムで奪った待望の初得点となった。

 1点リードを奪った日本はその後も主導権を握り続ける。前半27分には中央から藤本と香川が細かいパス交換を見せ、最後はPA外から藤本が左足でミドルシュートを狙ったが、ゴール左へ。同35分、香川のスルーパスに李が抜け出した好機はオフサイドの判定で、同37分にも藤本のショートコーナーから長友の左クロスにファーサイドの槙野がヘディングで合わせたが、枠を捉え切れなかった。

 格下のベトナムを相手に終始、優勢に試合を運びながら、追加点を奪うことはできず、前半は1-0で終了。中央に選手が偏り、3-4-3の特性であるサイドから厚みのある攻撃を見せられず、決定機の回数という意味でも物足りなさの残る45分間となった。

 ザッケローニ監督はハーフタイムに4人を交代。香川、長谷部、長友、伊野波を下げて国際AマッチデビューとなるFW原口元気、MF中村憲剛、DF栗原勇蔵、MF阿部勇樹を投入し、システムも4-2-3-1に変更した。4バックは右からDF駒野友一、栗原、DF今野泰幸、槙野。細貝と阿部がダブルボランチを組み、2列目は右から藤本、中村、原口で、李が1トップに入った。

 慣れ親しんだシステムに戻した日本だったが、後半立ち上がりはベトナムの反撃に遭った。後半3分、自陣で今野がプレッシャーを受け、MFグエン・チョン・ホアンがボールをカットし、そのままPA内に進入。右足の強烈なシュートはGK西川が鋭い反応でセーブすると、このプレーで与えたCKから最後はFWレ・コ・ビンに決定的なヘディングシュートを許したが、再び西川が好セーブを見せ、ゴールを死守した。

 日本は後半6分、槙野が直接FKを狙うが、GKがキャッチ。同8分には原口が左サイドからドリブルで切れ込み、右足でミドルシュートを放つもゴール左にそれた。トップ下に入った中村がいい形でボールに絡めず、阿部と細貝のダブルボランチからもなかなか効果的なパスが出ない。攻撃が停滞し、試合もこう着状態に入ると、後半20分すぎに槙野が右足をつり、ピッチ外に運び出された。槙野はそのまま同23分にDF吉田麻也と交代。吉田はCBに入り、今野が左SBに回った。

 攻撃にリズムの出ない日本は後半29分、藤本の右CKに李が頭で合わせるもクロスバーの上へ外れる。その後はなかなかフィニッシュにも持ち込めないまま時間だけが経過。同39分には藤本のスルーパスに中村が走り込むが、トラップが大きくなり、DFにクリアされた。

 後半43分にはベトナムのDFチャン・チ・コンが2枚目の警告で退場。このプレーで獲得したFKを藤本が直接狙ったが、惜しくもゴール左に外れた。ロスタイムは4分。数的優位に立ち、追加点を狙って最後の猛攻を仕掛けたが、中村が原口に通したスルーパスはオフサイドを取られるなど、最後まで2点目を奪えなかった。

 試合は1-0のまま終了。負傷離脱中のFW本田圭佑の穴を埋めるべく、前半は3-4-3、後半は中村をトップ下に置く4-2-3-1で戦ったが、主力数人を休ませるなどベストメンバーではなかったとはいえ、いずれも決定的な打開策とはならず、消化不良のまま90分間を終えた。

[写真]憲剛が約1年ぶり代表戦でトップ下を務めるも……。本田不在が大きく、攻撃面で不完全燃焼だった

(取材・文 西山紘平)

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