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東京Vが長崎に7発大勝!優勝した第84回大会以来、7大会ぶりに初戦突破

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[10.10 天皇杯2回戦 東京V7-1長崎 駒沢]

 天皇杯2回戦の2日目が各地で行われ、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場ではJ2の東京ヴェルディとJFLのV・ファーレン長崎が対戦した。長崎が前半20分に先制し、ジャイアントキリングを起こすかと思われたが、その後に東京Vが意地を見せて7-1の逆転勝ちをつかんだ。東京Vは優勝した第84回大会(04年度)以降、ここまで全て初戦敗退と苦しんでいたが、7大会ぶりに白星をつかんだ。

 東京Vは4-4-2を採用。GKは柴崎貴広、DFラインは右から森勇介、土屋征夫、富澤清太郎、中谷勇介。ダブルボランチは佐伯直哉と小林祐希が組み、2列目は右に井上平、左に菊岡拓朗が入った。2トップはマラニョンと阿部拓馬が組んだ。

 対する長崎はGKは近藤健一、DFラインは右から杉山琢也藤井大輔、チェ・ジェウン、持留新作。ダブルボランチは中井義樹山城純也が組み、2列目は右に佐藤由紀彦、左に岩間雄大が入った。2トップは有光亮太水永翔馬が組んだ。
 
 立ち上がりから個人技で勝る東京Vが圧倒的にボールを支配する。菊岡、阿部、マラニョンを中心にパスとドリブルで打開を試みた。しかし、長崎は元J戦士がズラリと揃っており、中盤と最終ラインが何とか踏ん張って失点を防いだ。

 長崎は守ってからのカウンターで応戦。前半10分には有光がPA内右からシュート。同12分にはカウンターで山城から右の杉山とつながり、杉山が右足でシュート。決められなかったが、相手のミスを突いてチャンスを作る。

 東京Vも反撃。前半16分、中央からボールを運び、右サイドをオーバーラップしてきた土屋に展開。土屋は落ち着いてPA右にグラウンダーパスを通すと、井上が右足でシュート。決定機だったが、わずかに上に外してしまった。そんな中、長崎が先制に成功した。

 前半20分、PA左で佐藤由紀彦がボールを持つ。横浜FMやF東京で活躍し、日本代表候補にも名を連ねたことがある攻撃的MFは、土屋に潰されかけながらも中央の岩間雄大に横パス。これを岩間が右足できっちりと決め1-0リードをつかんだ。ゴール後はベンチメンバーも含めて喜び合ったが、それもつかの間だった。

 前半22分、東京Vが同点に追いつく。右CKのチャンスを得ると、菊岡のキックから富澤がシュート。これはGK近藤に弾かれたが、こぼれ球をマラニョンが押し込んで1-1の同点に持ち込んだ。東京Vはその後、マラニョンと阿部をスペースに走らせて逆転弾を狙う。長崎は時間を追うごとにJのスピードに慣れ、またオフサイドが多かったこともあり、ぎりぎりのところで失点を防いでいた。

 しかし、前半38分に失点を許す。東京Vは右サイドでFKのチャンスを得ると、菊岡拓朗のキックに阿部拓馬がニアに飛び込んで頭を合わせ、2-1逆転に成功した。その後も東京Vが攻め込むが、追加点は奪えず。前半はそのまま東京Vのリードで折り返した。

 後半、東京Vは井上に代えてFW平本一樹を投入。平本は左MFに入り、菊岡が右MFに回った。後半も東京Vが主導権を握る。そして同10分、追加点を決めた。CKから菊岡のキックに土屋征夫が打点の高いヘディングシュートを沈め、3-1とリードを広げた。

 東京Vはその後も手を抜かない。後半12分には左サイドを阿部拓馬がドリブルで突破し、中央へ速いグラウンダークロス。これをマラニョンが飛び込んで押し込み、4-1とした。同15分、東京Vは佐伯に代えてDF高橋祥平を入れた。そして同24分に、再び追加点を奪った。小林のスルーパスに菊岡拓朗が反応。最初のシュートは弾かれたが、こぼれ球を左足で決めて5-1とした。

 長崎はこの時間帯、集中力と運動量が落ちたのか、完全に間延びし、東京Vの攻撃に対応できなくなっていた。後半25分にはチェ・ジェウンがPA手前で抜かれかけたマラニョンを倒し、一発レッドカードで退場。ただでさえ劣勢の中、10人での戦いとなってしまった。

 東京Vは後半26分、これで得たPA右のFKを小林祐希が直接決めて6-1とした。それでも東京Vは攻撃を緩めない。その2分後には左サイドを崩しての平本一樹のクロスに、阿部拓馬がヘディングで合わせて7-1と大量リードをつかんだ。直後、東京Vはサポーターからのコールがあった影響か、土屋に代えて元日本代表FW巻誠一郎を同28分から投入した。

 何とか1点でも返したい長崎は後半29分、中井に代えて元ジェフユナイテッド千葉のMF熊谷智哉を送り出した。熊谷は同33分、カウンターからPA左に持ち込み、左足ミドルを放ったが、これはわずかに外れた。東京Vは同34分、マラニョンから中央の巻にラストパス。巻はすぐさま縦に仕掛けてシュートを放った。しかし、惜しくも左ポストに当ててしまった。

 長崎は後半37分、最後の交代カードを切る。佐藤に代えてFW山内祐一を投入した。その後、一進一退の攻防が続き、3分のロスタイムに突入する。長崎は最後まで諦めずにゴールを狙ったが、東京Vの集中力は途切れなかった。
試合はそのまま7-1で東京Vが勝利。ついに“呪縛”を解き、7大会ぶりの初戦突破を果たした。

(取材・文 近藤安弘)


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