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[MOM493]横浜市立東FW小野拓馬(2年)_「つらい時に走れる選手」目指すFWが全国王者から“衝撃の3発”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.30 第90回全国高校選手権神奈川県大会準々決勝 横浜市立東4-3桐蔭学園 麻溝]

 “衝撃”の3発だった。公式戦でハットトリックを記録したことがないという横浜市立東FW小野拓馬(2年)が全国高校総体王者・桐蔭学園から3ゴール。全国王者を沈めた2年生FWは「こんなに取れる選手ではないです。ゴールは周りのサポートのおかげ。でも記憶に残る一日になりました」と控え目にその大爆発を喜んだ。

 新人戦では桐蔭学園に1-3で敗戦。ただ「そんなに遠い存在ではないと思っていた」という小野はこの日、全国王者にとって最大の脅威となった。まずは1-1の前半35分、「何となく来るのが分かった」とMF浅野亮太(2年)からのループパスに反応すると、ディフェンスラインとGKの間に飛び出して胸トラップ。そして「GKを意識しないで逆サイドに蹴ろうと思った」と冷静にシュートをゴール左隅へ流し込んだ。また直後には狙っていたというディフェンスラインの背後へ再び飛び出して左足ダイレクトで2点目。さらに後半24分にはSB柴崎陽介(3年)からの左クロスを頭でゴールへと押し込んだ。

 岡本崇吾監督は「ひたむきに努力することで出た」とその献身性を活躍の要因に挙げていたが、小野自身も「自分は身体能力もないし、身長もない。スピードも並。でもスタミナはそこそこあると思う。だから自分はぶっ倒れるまで走り回ること。気持ちとやれることをやろうと思ってやりました」。桐蔭学園の選手たちのような技術も特別な武器もない。ただひたむきにチームのために走り続けた。それがこの日は最高の結果につながった。

 桐蔭学園から奪った3発は自信になったが、過信している余裕はない。注目を集めることは間違いないだろうが姿勢を変えるつもりも全くない。「切り替えの速さで負けないことだったり、つらい時に走れる選手になりたい。準決勝も失うものはない。がむしゃらに勝ちにいきたい」。全国王者のゴールに3発を叩き込んだヒーローは今後も謙虚に走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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