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[選手権予選]全国王者・滝二撃破の市立西宮、決勝も制して初の全国へ!!:兵庫

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[11.13 第90回全国高校選手権兵庫大会決勝 市立西宮1-1(PK4-2)神戸弘陵 ホムスタ]

 第90回全国高校サッカー選手権兵庫県大会は13日にホームズスタジアム神戸で決勝戦を行い、市立西宮が1-1からのPK戦の末、4-2で神戸弘陵を下し、初の全国大会出場を決めた。

 奇しくも新人戦決勝と同じ組み合わせとなったこの日の一戦。「弘陵の方が力は上」と新人戦準Vの市立西宮・大路照彦監督が話したように、前半は立ち上がりからDFラインから繋いでスペースへの嗅覚に優れるFW吉田直斗(3年)、車剛史(3年)の2トップにボールを集める神戸弘陵が試合のペースを握る。一方、市立西宮は本来のダイレクトパスを繋ぐスタイルが影を潜め、攻撃面では見せ場が少なかった。だが「どこにも負けない」(大路監督)という自慢の集中力を見せ、DF陣が決定機を与えないまま前半を終了する。

 後半に入っても流れは神戸弘陵だった。前線からしっかりプレスをかけて相手のパスコースを限定。高い位置でボールを奪ってから、ドリブル突破で得点を狙う。対する市立西宮はパスコースを限られたことでロングボール主体の攻撃となったが、エースMF後藤寛太(3年)が左サイドと中央の裏のスペースへ走り込み、そのドリブルからチャンスを掴んでいく。

 27分には中盤でのインターセプトから、MF難波祐輔(3年)が左サイドへ展開。スペースで受けた後藤がドリブルでPAに進入するも、これはDFが身体を張ってブロック。28分にも途中出場のFW細井優希(1年)が右サイドからのスルーパスに反応し、GKと1対1の決定機を迎えたが、決められずに試合は延長戦に突入する。

 延長前半でもスコアは動かず、迎えた延長後半1分、神戸弘陵がキックオフのボールを前に運び、DF裏に出た所を市立西宮GK中野啄治(3年)が前に出てクリアする。相手に当たりながらも伸びたボールがDF裏に落ち、これに反応したのが細井。GKとの1対1を冷静に決めて市立西宮が待望の先制点を奪った。全国高校総体予選時のレギュラーながらも、選手権予選では体調不良のためにスタメンから外れていた細井。「これ以上使ったら、アカン」(大路監督)と交代の準備をしていたところで大仕事を果たし、御役御免。直後にMF秋山諒大(2年)と交代する。

 残り時間はわずか。このまま試合が終わるかと思われたが、パワープレーを仕掛けた神戸弘陵が意地を見せた。終了間際の延長後半9分、左サイドの突破から中へクロス。GK中野がパンチングで弾くも、距離は短くゴール前のDF嶋谷昇大(3年)の足元へ。素早くフリーのFW吉田直斗(3年)にパスを送ると、吉田がこれを落ち着いて決めて同点に追いついた。

 勝負の行方はPK戦へ。PK戦では先攻の神戸弘陵が1人目のMF江坂巧(2年)が失敗、3人目の嶋谷がGK中野に防がれたのに対し、市立西宮は4人全員が成功し、勝利を掴んだ。死闘を制して初V。準決勝で昨年度の全国王者・滝川二を3-2で沈めた市立西宮が歴史を変えた。

 市立西宮サッカー部の監督就任から17年。歓喜を爆発する選手たちの隣で「ここで泣かんといつ泣くねん」悲願だった初の全国出場を決めた大路監督は試合終了からずっと涙を浮かべていた。

(取材・文 森田将義)
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