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[選手権予選]武南に逆転勝ち!川島母校の浦和東が6年ぶりV!!:埼玉

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[11.20 第90回全国高校選手権埼玉県決勝 浦和東2-1武南 埼玉]

 日本代表GK川島永嗣の母校が6年ぶりに全国へ! 第90回全国高校サッカー選手権埼玉県大会決勝が20日、埼玉スタジアム2002で行われ、浦和東がFW菊池将太(3年)の2得点により、武南に2-1で逆転勝ち。6年ぶり5回目の全国大会出場を決めた。あす21日には東京都内で全国大会(12月30日開幕)の組み合わせ抽選会が開催される。

 表彰式の途中で降り出した雨はあっという間に激しく打ち付ける強雨となった。ただ今夏の全国高校総体予選に続く埼玉制覇を成し遂げた浦和東にとっては、まさに歓喜のシャワー。試合後、びしょ濡れの選手たちに囲まれてインタビュールームで胴上げされた野崎正治監督は「厳しいゲームになるのは分かっていた。もっとやられると思っていたけれど、やらせなかった。子どもたちが粘ってよくやってくれたと思う」と選手たちの頑張りを強く讃えていた。

 相手は元全国王者で埼玉を代表するタレント軍団・武南。個々の能力で劣る浦和東は前半11分に先制ゴールを許してしまう。武南はFW遊馬将也(3年)の縦パスからMF亀山大樹(3年)が前線でポイントとなると、左中間を抜け出したMF谷口貴哉(3年)がそのまま左足シュートをねじ込んだ。両チーム最初の決定機を確実にものにした武南がリードを奪った。

 ただ、浦和東は武南を乗せなかった。武南の大山照人監督は「負けるとしたらこういう形。自分たちの問題。プレスをかけられた時の対処の仕方が甘かった」と無念の表情を浮かべていたが、前線から最終ラインまでを30~35mのコンパクトに保つ浦和東の組織を打開することができず、ミスを連発してしまう。188cmの大型CB的場京が攻守に空中戦で奮闘し、そのこぼれ球を活かそうとする武南だが、185cmのCB田代将也(3年)と的場の強力CBコンビが何度も背走させられるなどリズムをつくることができない。また野崎監督から「絶対に前を向かせるな!」と送り出された浦和東に距離を詰められた武南は、局面で常に数的不利をつくられてしまい、中盤のラインを突破できなかった。

 逆に浦和東は視野の広さと運動量を兼ね備えたMF有野涼とMF大澤敬(ともに3年)のダブルボランチが躍動。また各選手がDF間に次々と入り込んでボールをつなぎ、武南を押し込んだ。そして前半29分、MF菅原悠平(3年)の右クロスをファーサイドの菊池が頭で折り返すと、中央からPAへ飛び込んできた有野がDFに背後から倒されてPKを獲得。これを菊池が右足でゴール右へ決めて同点に追いついた。

 武南は前半36分に遊馬のキープから、SB穐本大輝(3年)が放り込んだ右クロスにファーサイドから走りこんだ谷口が決定的な形で合わせる。だが、この右足シュートがゴールを外れると、試合の流れは浦和東へ。後半7分に右CKから菊池が個人で持ち込んで放った左足シュートはクロスバーを叩いたものの、13分に浦和東は試合をひっくり返す。PAでボールを持った菅原が左サイドへはたくと、左MF鄒龍輝(3年)が弾道の低いクロスボール。これをファーサイドの菊池がゴール左隅へ流し込む技ありのヘディングシュートで決めて勝ち越した。

 逆転された武南は穐本のロングスローなどセットプレーから圧力をかける。だが「今(武南に)負ける気がしない」と言い切るゲーム主将のCB小畠俊貴(3年)を中心とした浦和東守備陣は決定機をつくらせない。後半37分には亀山の左サイドからの折り返しに田代が飛び込んだが、GK平野雅也(3年)が勇気を持ったセービングで相手と交錯しながらもゴールを死守。結局後半は相手を1年生MF鈴木裕也のシュート2本に封じた浦和東が、1点差を守りきり、全国切符をつかんだ。

 2得点の菊池は「(浦和東の最高記録が)ベスト16と聞いていた。(昨年8強の)西武台よりも上に行きたい。そのために目の前の目標を一歩一歩クリアしていきたい」。昨年のW杯でビッグセーブを連発して日本中を熱狂させた川島の後輩たち。全国トップレベルの強力なタレントはいない。それでもプリンスリーグ関東2部Aで選手権の優勝候補・山梨学院に1-3から逆転するなど、まとまりの良さと集中力の高さは侮ることができない。グループで一丸となって相手を上回る埼玉王者が日本中を沸かせた川島のようにこの冬、国立を沸かせることができるか。

(取材・文 吉田太郎)
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