beacon

[MOM512]市立船橋MF菅野将輝(3年)_“市船のキング”が延長V弾!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.26 第90回全国高校選手権千葉県大会決勝 市立船橋1-0(延長)流通経済大柏 柏の葉]

 試合後、左足首を負傷してまともに歩くことのできないヒーローに市立船橋イレブンが「キング!」「キングよくやった!」と次々と歩み寄り、抱擁を繰り返していた。延長前半7分に決勝ゴールを決めた市立船橋FW菅野将輝(3年)は名前の「将」の字と「マサキ(ング)」いう読みから由来するニックネームについて苦笑いしながら教えてくれたが、市船の“キング”がチームを全国へと導いた。

 無回転FKを操るなどチーム屈指の攻撃力を備えるアタッカーだが、準決勝で足を攣らせるなどこの日は体力面を考慮されてベンチスタート。本人も「前半から出れば足攣るのはわかっていた。出たら(岩渕と和泉と絡んで)動きの質を上げられるように意識していた」とはやる気持ちを抑えて出番を待った。前半は中盤が間延びして1トップのFW岩渕諒(3年)が孤立するなどほとんど攻撃機会のなかった市立船橋だったが、菅野とMF杉山丈一郎が投入された後半からは彼らがドリブルで長い距離を運ぶなど展開を徐々に変えていく。

 80分間で勝負を決めることはできなかったものの、無回転FKを放つなど積極的にゴールを狙った菅野が値千金の“優勝決定弾”を決める。延長前半7分、PAの混戦でシュートの跳ね返りを足元で受けると、前方を敵、味方に塞がれて「ほぼゴールもGKも見えなかった」という状況の中で背番号11は冷静にボールをコントロール。間合いを開けてからゆっくりと右足を振りぬくと選手間を抜けた一撃はゴール左隅へ吸い込まれた。これを確認したヒーローはチームメートよりも少し遅れてスタンドへダッシュ。そして興奮する輪の中へ飛び込んだ。

 昨年の全国高校総体では2回戦の大分鶴崎戦で決勝ゴールを決めたほか、準決勝の桐光学園戦、滝川二との決勝でもアシストをして日本一に貢献。今夏の総体予選決勝では同じく流経大柏から同点ゴール叩き込むなど“キング”は得点に絡むプレーで輝きを放ってきた。今年はコンディションを落としてポジションを失った時期もあったが、それでも信頼を勝ち取り、大一番で再び大仕事をしてのけた。

 相手の左クロスをブロックした際に足首を負傷して試合後は松葉杖をついた痛々しい姿。それでも「全国でもゴールを狙います」。“市船のキング”はその攻撃力を全国でも発揮し、再び日本一をもたらすことを誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP