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[クラブW杯]元鹿島のイ・ジョンスが決勝アシスト、アジア王者アルサッドがエスペランスを下し、バルセロナへの挑戦権をつかむ

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[12.11 クラブW杯準々決勝 エスペランス1-2アルサッド 豊田ス]

 FIFAクラブワールドカップ2011は11日、豊田スタジアムで準々決勝の2試合を行った。第1試合では共に初出場のアフリカ代表のエスペランス・スポルティーブ・ド・チュニス(チュニジア)とアジア代表のアルサッド(カタール)が対戦。エスペランスが多くのチャンスを作った中、アルサッドが少ない好機をものにして2-1勝利した。アジア王者は15日の準決勝で、欧州代表のバルセロナ(スペイン)と対戦する権利をつかんだ。

 エスペランスは4-3-3を採用。前線は中央にFWヤニック・ヌジェングを置き、左にはドリブルが持ち味のユーセフ・ムサクニを据えた。トップ下にはゲームメイクのセンスに優れる主将で背番号「10」のMFウサマ・ダラギが入った。CBには長身でフィジカルに優れるバナナ・ヤヤを配置。日本では無名の選手が多いが、全体的に身体能力が高い選手が揃い、そこにムサクニやダラギが絡んで迫力ある攻撃を構築した。

 対するアルサッドも4-3-3を採用。CBには元鹿島のイ・ジョンス、前線の3トップには日本でも馴染みのある選手が名を連ねた。中央には07年のセネガル最優秀選手でマルセイユにも在籍していたママドゥ・ニアンが構え、左FWには06年に10代でアジア最優秀選手に選ばれたハルファン・イブラヒム、右FWにはコートジボワール代表のアブドゥル・カデル・ケイタが入った。

 序盤から主導権を握ったのは、エスペランスだった。縦パスとサイドを使ったダイナミックな攻撃でアルサッド陣内に攻め込んだ。前半8分にはヌジェングがPA左からシュート。GKに防がれたが、これでチームがリズムに乗る。同19分には再びヌジェングが仕掛け、右ポスト直撃のシュートを放つなどアジア王者を押し込んだ。

 アルサッドは思うようにボールを繋ぐことができず、ピンチの連続。それでもイ・ジョンスらDFラインが踏ん張り、何とか跳ね返した。前半25分、再びエスペランスがチャンスを迎える。ロングボールをヌジェングが競り勝ち、左サイドを走り抜けたムサクニのもとへと届く。ムサクニはドリブルで仕掛けてPA内に突進しシュートを放つが、枠を外した。その2分後には左サイドでボールを受けたムサクニがドリブルで仕掛けて正面でシュートを放ったが、GKの好セーブに阻まれた。

 そんな展開の中、アルサッドがワンチャンスをものにした。前半33分、右サイドのアブドゥル・カデル・ケイタにロングボールが渡ると、ドリブルで縦に抜けて角度のないところからミドルシュート。強烈な一撃はGKの手を大きく弾き、ファーサイドにこぼれると、詰めていたハルファン・イブラヒムが頭で押し込んで先制点を奪った。アルサッドは苦しい展開が続いたが、ワールドクラスの2選手の活躍で、前半を1-0で折り返すことに成功した。

 後半、早い時間に同点にしたいエスペランスはDFイドリッサ・クリバリーに代えてDFハリソン・アッフルを投入した。そんなアフリカ王者のもくろみをアルサッドが打ち消す。後半、相手の速さになれたのか、アジア王者らしさが少しずつ戻ってきた。そして同4分、アルサッドが追加点を奪った。左サイドで得たFKのチャンス。ファーサイドに上がったボールをイ・ジョンスが空中戦に勝利し、DFアブドゥラ・コニのゴールにつなげた。イ・ジョンスのヘディングは完璧で、コニは無人に近いゴールに押し込むだけだった。

 しかし、エスペランスは諦めない。フィジカルの強さ、スピードを活かしてアルサッド陣内に果敢に攻め込む。そして後半15分、セットプレーで1点を返すことに成功した。右サイドで得たFKのチャンスに、中央で背番号「10」のウサマ・ダラギが頭を合わせてゴール左に突き刺した。

 後半27分、アルサッドはMFウェサム・アブドゥルマジドに代えてDFタヒル・ムハンマドを送り出した。そしてその3分後、両チームとも動いた。エスペランスはダラギに代えてFWハレド・アヤリを投入。アルサッドはハルファンに代えてFWユセフ・アリを送り出した。

 そして後半34分、エスペランスが決定機を迎えた。中央やや右からのクロスを頭で折り返し、エースのヌジェングがシュート。ゴールネットに突き刺さったが、ヌジェングの飛び出しはわずかにオフサイドで、ノーゴールの判定となった。同41分にも再びエスパランスがチャンスを迎える。ゴール正面から折り返しのパスをFWワジディ・ブアジが左足シュート。選手が前におり、GKには見えにくいシュートだったが、好セーブに阻まれた。

 終盤、エスペランスが必死に同点、そして逆転を目指して攻め込む。後半45分にはFKから空中戦に競り勝ってつなぎ、ゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定が下されるなど、運にも見放された。試合はそのまま2-1でアルサッドが勝利。アジア王者がバルセロナへの挑戦権をつかんだ。

(取材・文 近藤安弘)

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