beacon

[クラブW杯]柏の守備陣は世界の凄さを痛感

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.14 クラブW杯準決勝 柏1-3サントス 豊田ス]

 ボールポゼッションは52%対48%。シュート数は14本対8本。いずれも柏が上回った。見せ場はあったし、チャンスも数多くあった。けれども全体を通じて感じた印象は「世界との差」。柏守備陣は1-3というスコアが如実に示す差、いや、それ以上の差を痛感したことを吐露した。

 まずは前半19分、FWネイマールの先制シーンだ。

 ミーティングでは「左サイドでのプレーがほとんど」というスカウティングリポートを元に対策を講じたが、立ち上がりのネイマールは左に右に、ピッチをワイドに動いてはボールを受け、シュートチャンスを窺う。ガンソがセンターサークル付近から出したスルーパスに合わせて中央右寄りでボールを保持すると、右足トラップから軽やかに切り返し、一瞬で大谷秀和をかわした。

「あの場面では僕は(ネイマールに)気づいていなかった。マークの受け渡しがうまくいかなかった」。想定外の動きで虚を突かれた大谷は、切り返し一発で相手をフリーにしてしまうと、カバーに入ったセンターバックの寄せも遅れ、まるでキックターゲットのような狙い澄ましたシュートを打たれた。

 増嶋竜也は「1人目がかわされたときにセンターラインがもう少し押し上げていれば良かったのだけど。10センチでも開けるとああいうすごいシュートを打たれてしまう。世界を感じたし、正直、“すげーな”と思ってしまった」と驚嘆の声を上げる。

 ネイマールの先制点から5分後の24分、ホルジェスに決められた2点目も、Jのレベルを超えた個人技にやられたものだ。DF陣の脳裏にはまだ1点目の残像がある状態で、ペナルティーアーク付近にネイマールとホルジェスが並ぶ。パスはホルジェスに入ったが、守備陣の意識はネイマールに引きつけられ、寄せが遅れる。と、ホルジェスが間髪入れずに右足を一閃した。

 センターバックの近藤直也は「2点目はあそこで打ってきて、しかも無回転」と言い、「1点目も、崩されていないところ、ブロックを作って対応しているところであのすごいシュートを打たれた。個々の能力が違った」と驚きを隠せなかった。

 とはいえ、ここで体験して感じたものは必ず今後に生きてくるはずだ。「休みを挟むのがもったいないくらい、今すぐこの感覚でACLなどを戦いたい」と近藤。増嶋は「ネイマールは大津っぽかった。つねにボールをさらして、こちらの間合いになっても触らせてくれなかった。貴重な経験を今後に生かしたい」。世界を体感した柏守備陣の今後が楽しみだ。

(取材・文 矢内由美子)

▼関連リンク
クラブワールドカップ2011特集

TOP