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[クラブW杯]感じた世界との“決定力の差”。北嶋「練習でなんとかなるなら、いくらでも練習するんですけど……」

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[12.14 クラブW杯準決勝 柏1-3サントス 豊田ス]

 スコアは1-3だったが、ボール支配率は52%対48%で上回った。シュート数も6本多い14本。柏レイソルの攻撃陣は、世界を相手にしてもある程度やれることを証明した。決めるとこを決めていれば、という展開でもあったが、その“ちょっとの差”が大きかった。

「自分の思うようなプレーができたけど、あと最後、ゴールを取れるか取れないかというところ。それがホント、決定的な差になった。それを埋めないといけない」

 後半開始から途中出場したFW北嶋秀朗は強調した。セットプレーでのDF酒井宏樹の1点だけだったが、後半は決定的なチャンスが再三、生まれた。北嶋は1-3の後半23分、MFレアンドロ・ドミンゲスのクロスに抜け出し、PA内左で受けて右足を合わせた。しかし、ボールはゴールの上に外れた。

「相手のスライディングが気になって、浮かし気味で打ったら、強く当たりすぎた。もう少し弱く当てようとしたんですけど……。ほんとに、最後のちょっとのミス。そのちょっとのミスが差なんだと感じた」と北嶋は悔しがった。

 同じく途中出場のMF澤昌克も2度の大きな決定機があった。後半30分、PA右でレアンドロのスルーパスに抜け出して右足シュート。しかし、これは左ポストに当ててしまった。そして同37分、右サイドから出たレアンドロのグラウンダークロスに、ファーサイドに走り込んで右足を伸ばした。しかし、こちらも決めきれなかった。

「すごく悔しい。チームとして前半はコンパクトに戦って、全体的に球際は相手より気合いが勝ってマイボールにできていた。だからこそ(チームのためにゴールが決められず)悔やまれます」と澤はミスショットに反省を繰り返した。

 ポストプレーやつなぎのプレーは、まずますの出来だった。それは先発したFW田中順也やFW工藤壮人も同じ。シュートまでのプレーはレベルの向上を伺わせた。北嶋は「相手は個としてはみんなうまくて、一つ一つのプレーや体の使い方、間の取り方、シュートの打ち方とか、ほんとにすごい上手。スゲーとスゲーと思うことはたくさんあったけど、組織としては負けていなかった」と言う。

 澤も「昔フラメンゴと戦ったけど、その時よりも今日の方がしっかりと自信を持って戦えた。自分が入る前に3点目が入って難しい展開になったけど、普通にやれた」と口にした。つまり、全体的な日本人ストライカーのレベルは上がっているということ。だか、長年言われていることだか、決定力だけは差が縮まっていなかった。

 世界クラスのストライカーはチームプレー、組織的なプレーを多少おろそかにしても、ワンチャンスで確実に決めてくる。求められている仕事が違うといえばそれまでだが、やはり『決定力の差』を改めて痛感した。

 北嶋は「今日は、ほんとに絶好調でした。だから、点を決められなかったことだけは、ほんとに悔やまれる。全部がうまくいっていた。ほんと、ゴールだけ。それが僕の仕事なのに。ポストも僕の仕事ですけど、それだけが仕事じゃない。一番大事なのはゴールという仕事。ほんとにゴールが欲しかった。こんなにゴールが取りたかった試合というのは、なかなかなです」と吐露した。

 そして、偽らざる本音を漏らした。「決定力は、どうやったら上げていけるのか考えていきたい。練習でなんとかなるなら、いくらでも練習するんですけど……。どういうふうにすれば、決めていけるのか」と頭を抱えた。

 世界を体感し、世界との差を計れたことで欲が出た。北嶋は「世界を見た。僕達は、この世界を見て、感じちゃった。俺らが目指す世界というのは、こういうところなんだと思った。(この試合を経験して)自信になりました。この歳でも成長したと思ったし、やれると思った。やれなかった、ゴールを取れなかったことを、これからはもっともっと突き詰めて行かないといけない」。

 田中や工藤ら他のストライカーも同様の思いを抱いている。“僅かなようで大きな差”だが、諦めてはいない。むしろ、克服したいと強く思うようになった。この悔しさは必ず、さらなる飛躍へのきっかけとする。すぐには埋まらない差だが、この日感じた点を少しでも修正し、18日の3位決定戦で活かすつもりだ。

(取材・文 近藤安弘)

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