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[クラブW杯]柏、0-0の末のPK戦で敗れる。北嶋、水野ら奮闘も“世界4位”で終了

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[12.18 クラブW杯3位決定戦 柏0-0(PK3-5)アルサッド 横浜]

 柏、PK戦で涙……。FIFAクラブワールドカップは18日、横浜国際総合競技場で3位決定戦を行い、Jリーグ王者の柏レイソルとアジア王者のアルサッド(カタール)が対戦した。試合は0-0のスコアレスのまま90分間が終わり、大会規定により、延長戦なしでPK戦へ突入した。そこで柏は3-5で敗戦。世界3位の座をアルサッドに譲った。2007年の浦和、08年のG大阪に続く日本勢3位はならなかったが、試合内容は来年のACLに期待を抱かせるものとなった。

 柏はJリーグMVPの司令塔MFレアンドロ・ドミンゲスとボランチの栗澤僚一を累積警告による出場停止で欠く布陣だった。FW北嶋秀朗が今大会初先発し、MF水野晃樹が昨夏の柏加入後初先発を果たした。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と茨田陽生が組み、2列目は右に水野晃樹、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは北嶋秀朗と田中順也が組んだ。

 対するアルサッドは3-4-3を採用。3バック中央は元鹿島のイ・ジョンス、左のWBはアルジェリア代表として南アフリカW杯にも出場しているナディル・ベルバジが務めた。前線は3トップ気味で中央に元マルセイユのFWママドゥ・ニアンが構え、その右下にコートジボワール代表FWアブドゥル・カデル・ケイタ、左下には2006年に10代でアジア最優秀選手を獲得したFWハルファン・イブラヒムが入った。ただこの3人は流動的に位置を変え、攻撃に絡んでいった。

 組織で守り、組織で攻める柏と、前線のタレントを活かしたカウンターサッカーのアルサッド。最初にチャンスを作ったのは柏だった。前半5分、左サイドをワグネルが深くえぐってクロス。中央で田中がヘディングシュートを放った。しかしこれは、わずかにジャストミートできず左に外れた。柏は左右ともにサイドを起点にアーリークロスで攻めたが、それが効果を発揮した。

 前半11分には酒井の右クロスに北嶋が走り込んで頭を合わせたが、左に外れた。同14分、柏がピンチを迎えた。カウンターを仕掛けられ、ゴール前でハルファンを倒してしまいFKを与えた。このFKからベルバジが直接ゴールを狙ったが、GK菅野が好セーブで防いだ。同21分、柏は北嶋がクロスボールに飛び込んだ際、相手GKと頭部同士で接触。共に倒れこみ心配されたが、起き上がってプレー続行となった。

 その後も、柏がサイドからのクロスで攻撃のペースを握る。前半24分には水野の右クロスの跳ね返りから茨田がシュート。決められなかったが、積極性を見せる。そして同26分、柏が決定機を迎える。PA右から田中順也がドリブルで仕掛けて左足シュート。DFの間を抜いて決まったかに見えたが、惜しくも右ポストを叩いてしまった。その1分後には、酒井のクロスから田中がシュート。これはGKにセーブされた。同28分には左CKのチャンスで、ワグネルのキックから北嶋がヘディングシュート。これも惜しくも枠を外れた。

 前半30分、柏はカウンターを食らい危ない場面を迎える。縦パスから仕掛けられ、最後はママドゥ・ニアンにPA右外から強烈なシュートを打たれた。だが、間一髪でGK菅野が横っ飛びでセーブした。同35分にもカウンターを受け、ハルファンからのパスでアブドゥル・カデル・ケイタの強烈なシュートを浴びたが、これも再びGK菅野が好セーブで弾き出した。

 柏は前半39分、CKの好機で決定機を作った。右CKを水野が蹴り込み、ニアサイドで北嶋秀朗がヘディングシュート。うまく合わせて枠の中に飛ばしたが、不運にも相手GKのファインセーブに阻まれた。同45分には左からのボールに、ファーサイドの角度のないところで水野が飛び込んだが、右足のシュートは空振りしてしまった。前半は柏が好機を多く作りながら、0-0のスコアレスで折り返した。

 後半、ともにメンバー変更なくスタートした。同7分、柏がチャンスを作る。茨田がうまくスルーパスを入れ、北嶋が反応して走り込んだが、これはわずかに合わなかった。前半は柏が支配率53%、シュートも5本多い9本と優勢に試合を進めたが、後半の15分間はともに攻めあぐねる展開で、少しスローダウンした内容となった。

 それでも後半16分、柏がチャンスを作る。PA正面でパスを受けた北嶋秀朗が右足シュート。これは相手にブロックされたが、PA右にこぼれたボールを水野晃樹が右足シュート。狙いすまして打ったが、左に外れた。その1分後、再び柏が絶好機を作った。左サイド、橋本のクロスをPA内右で北嶋が胸トラップから右足シュート。決まったかと思われたが、飛び出した相手GKに阻まれてしまった。

 その後、柏は右の酒井、左の橋本がうまく絡んでクロスからチャンスを作るが、ゴールには結びつかない。アルサッドが引いて守ったこともあり、ゴール前のスペースは少なく、しっかりと跳ね返された。アルサッドは後半28分、ハルファンに代えてFWアリ・アフィフを送り出した。アルサッドは同29分、ゴール中央やや右、約27mのところでFKを獲得。柏にとっては危ない位置だったが、DFイブラヒム・アブドゥルマジェドの強烈な左足シュートをGK菅野がファインセーブ。CKに逃れることに成功した。

 柏は後半30分、田中に代えてMF澤昌克を送り出した。澤は1・5列目に入り、攻撃時には2トップの一角として、守備時には相手のボランチのケアする役目を担った。柏は後半35分、北嶋が魅せた。PA内左で橋本のパスを受けて前を向き、相手DFをなぎ倒して突進し左足シュート。しかしこれは惜しくも右に外れた。

 柏は後半36分、2枚目の交代カードを切る。北嶋に代えてFW林陵平を送り出した。アルサッドも選手交代。同37分、MFモハメド・アルヤジディに代えてFWハサン・アルハイドスを送り出した。柏は後半39分、水野晃樹がPA右から得意の右足ミドルを放ったが、これは惜しくも相手GKにパンチングで弾かれた。

 柏は後半42分、大ピンチを迎えた。柏にとって右サイドを仕掛けられてスルーパスを通され、FWママドゥ・ニアンがゴール前へ突進。GK菅野との1対1にされかけたが、近藤直也が必死に戻りスライディング。間一髪でシュートをブロックし、CKに逃れることに成功した。ロスタイムは2分。46分、柏は右サイドでFKを得る。ワグネルのキックに林陵平がバックヘッド気味に合わせたが、GKの好セーブに阻まれた。アルサッドは直後、DFメサード・アルハマドに代わりDFタヒル・ムハンマドを投入した。試合は0-0のまま、大会方式により延長戦なしでPK戦に入った。

 PK戦。柏は11日のモンテレイ戦でも経験し、4-3で勝利している。先攻はアルサッドが務めた。共に2人目まで成功し、アルサッドは3人目も決めたが、柏は3番手の林がセーブされた。その後、柏は4人目の大谷が成功させたが、アルサッドは5人全員が成功。先攻のアルサッドが5-3で世界3位をつかんだ。柏は惜しくも敗れたが、アジア王者相手に互角以上の戦いぶりを見せた。

(取材・文 近藤安弘)

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