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[MOM164]中京大FW藤牧祥吾(4年)_筑波沈める「面目躍如」の2発

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 全日本大学選手権1回戦 筑波大0-2中京大 古河]

 右足が攣りながら左足を伸ばし、飛び込んだ先にチームを救うゴールがあった。後半39分、バイタルエリアでパスを受けた中京大FW藤牧祥吾(4年=清水ユース)はフリーだったが、シュートではなく右サイドへの展開を選んだ。「今日は競り合いが多くて、後半の頭には足を攣っていた。あの場面はフレッシュな(石川)誠也が入っていたから、勝負を仕掛けさせるつもりだった」という理由だったが、パスを受けた石川はドリブルで仕掛けてクロスを上げた。藤牧はややぎこちない助走から左足を投げ出すようにしてボールを触り、貴重なダメ押しゴールを奪った。喜ぶ仲間が寄って来るが、足を伸ばすのが優先。しかし、勝敗を決定付ける自身2点目の後なら、急ぐ必要もなかった。あとは勝利のホイッスルを聞くばかりだったからだ。

 西ヶ谷隆之監督は「やっと取ってくれたという感じ。最近5、6試合、点を取れていなかった。今日ももっと早く追加点を取れるチャンスがあったし、そこで勝敗を決めて楽に戦えた可能性もあった」と苦笑したが、それでも「彼が取ることでチームが波に乗れば、素晴らしいこと。今日は評価してあげてください」とエースの面目躍如に喜びは隠せなかった。

 指揮官が指摘したように後半12分には左クロスをヘディングで合わせたが、枠を外した場面があった。まさにそのプレーで足を攣らせた藤牧本人も納得の出来ではないようだ。試合を振り返ると「足を攣った後は強いシュートが打てなくなった。今日は2点を入れただけ。もっと早く試合を決められる大事なところで決めていない。自分が外して負けるのは嫌だったし、後ろがしっかり守ってくれていたので一番ゴールに近いポジションの僕には決める責任もあった」と反省が口をついた。

 高い目標を達成するために妥協が許されないことは分かっている。前回大会は決勝戦で敗れて悔しさを味わった。「1回戦で強い相手、筑波に勝てて自信にはなった。でも僕たちはまだ何もつかんでいない。まだ昨年と同じ。(前回大会の決勝は)思い出しても悔しい。4回ぐらい得点チャンスがあったのに取れなかった。当時の4年生の齊藤和樹さんがやってくれるという感じだったけど、今年は自分がやらないといけない。あのとき(準優勝)からチームが困ったときに頼れる、個で勝負できる選手になろうと思ってやってきた」と藤牧は雪辱への思いを明かした。

 大学4年生だが、進路は未定。サッカーを続けられる道を模索している。「なるべく長くプレーして、少しでもアピールしたい」――そのためにもつかみ損ねた栄冠を今度こそ手中に収めたい。

(取材・文 平野貴也)
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