beacon

[大学選手権]「美しく強いサッカーができている」初陣・専修大が2戦13発で4強進出!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.23 全日本大学選手権準々決勝 専修大4-1同志社大 夢の島]

 平成23年度第60回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)準々決勝が23日に行われ、東京都江東区の夢の島競技場で開催された第2試合では、関東王者の専修大(関東1)が同志社大(関西2)に4-1で快勝。初出場で4強進出を果たした専大は、25日の準決勝(西が丘)で中京大(東海1)と対戦する。

 関東MVPで主将のMF庄司悦大(4年=清水商高)が「美しい中でも強いサッカーができている」と振り返った専大が関西の雄を力でねじ伏せた。FW松田純也(4年=藤枝東高)が大会前の負傷でメンバーを外れ、初戦で2ゴールのエースFW辻智人(4年=神戸U-18)も1回戦終了後に負傷した同大は、初戦で9ゴールの専大対策として守備的布陣を選択。本来ならば、前へ前へ出るサッカーが持ち味だが、この日の前半は風上にも関わらず、引いて守るサッカーで関東王者に対峙した。だが、庄司が「いつも通りにボールを動かして攻めれば、いつか開くと思っていた」と振り返ったように、抜群の攻撃力を誇る専大は意に介さない。

 序盤はスペースを失ったトップ下のMF町田也真人(4年=埼玉栄高、ジェフユナイテッド千葉内定)がやや下がってボールを受け過ぎて流れが止まり、MF仲川輝人(1年=川崎F U-18)の右足ミドルや190cmFW大西佑亮(3年=鹿島ユース)の決定的なヘディングシュートなどのチャンスもゴールに結びつかなかった。それでも町田が「前へ」スイッチを入れた直後の前半25分、先制点が生まれる。左SB松本陽介(4年=清水商高)が相手を振り切ってゴールラインまでえぐると、そのラストパスのこぼれ球を仲川が落として最後は町田が右足シュート。粘り強く守っていた同大のゴールをこじ開けた。

 同大は相手の前線からのプレッシャーにはまり、ボールを奪ってもすぐに奪い返されてしまう。攻め手のない同大を尻目にさらに加速した専大は前半30分、町田の右クロスに飛び込んだ大西が、相手DFがクリアしようとした跳ね返りを頭で押し込み2-0とする。

 前半で早くも追い込まれた同大。ただCB早坂賢太主将(4年=中京大中京高)が「このまま終わったら悔いが残ると思った」と振り返ったように、ここからリスク覚悟で攻撃姿勢を強める。左MF杉山和毅(4年=清水商高)や早坂の正確なくさびからすぐさまサイドへ展開するなど、相手のプレッシャーをかいくぐる回数が増やすと、FW堤隆裕(4年=熊本工高)のポストプレーからMF矢野亮(2年=滝川二高)の放った右足シュートや、右SB三浦修(4年=青森山田高)の右足ミドルなど思い切ったシュートで劣勢打開を図る。その反撃は意外にも早く実を結んだ。前半終了間際の44分だ。CB早坂が前方のスペースを突いてから左MF東矢尚仁(4年=国見高)へ絶妙なフィード。DFを強引に振り切ってPAへ迫った東矢のシュートは緑の壁に阻まれたが、そのこぼれ球をFW石津令門(3年=丸岡高)が右サイドから左足で豪快に逆サイドのゴールネットへと叩き込んで1点差とした。

 元々後半勝負を想定していた専大は風上に立った後半に突き放そうとするものの、中盤にミスが出るなどやや停滞してしまう。また前半は大西の高さに苦戦し、仲川、MF長澤和輝(2年=八千代高)らのスピードの前に振り回されていた同大も時間が経つに連れて守備陣がしっかりと対応していく。そして1点差のまま後半15分を迎えると、ともに初戦でゴールしている辻とMF村上慎(2年=帝京大可児高)の同時投入を準備。だが「いざ投入」、という直前に専大が鮮やかなゴールで突き放した。

 18分、専大は右サイドで相手ボールを奪うと、カウンター攻撃。町田からのパスを庄司がヒールで戻すと、PAへ思い切って仕掛けた町田がマークを外して右足でゴールを決めた。相手の切り札投入直前にリードを広げた専大は、その後も鈴木雄也(3年=武相高)と栗山直樹(3年=清水東高)の両CBがPAへの侵入を許さない。結局、後半45分にも交代出場したMF池田裕樹(3年=清水商高)のロビングを「点を取りたいと言うのがあった」という大型FW大西がGK、DFの頭上から豪快なヘッドで撃ち抜いてダメ押し。相手選手に「強い」と言わしめた関東王者が堂々の4強進出を果たした。

「攻撃的で美しいサッカー」を掲げる専大だが、今大会はガードを固めた相手でもねじ伏せてしまう強さを見せている。特にまだ連続のミスが見られ、源平貴久監督も「(9ゴールした初戦同様に)きょうもあまり良くなかった」という中での快勝劇だ。初出場の関東王者は、このまま頂点へ駆け上がってしまうのか。準決勝の相手は昨年度のファイナリストで、対戦相手に合わせた戦略で勝利へ持ち込むしたたかさを持つ中京大。源平監督は清水商高の後輩に当たる中京大・西ヶ谷隆之監督へ向けて「西ヶ谷クンも打ち合いになると思ってくれていると思う」と笑顔で牽制していたが、庄司が「チームで崩せなくてもウチは個人で崩せる」と言い切るように、今の専大には指揮官、選手ともに「相手がどんなスタイルで来ても攻め勝つ」自信と手ごたえがある。

[写真]後半18分、3点目のゴールを決めた専大の町田(左)と庄司が歓喜のダッシュ
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
第60回全日本大学選手権

TOP