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[選手権]注目FWインタビュー1_清水商FW風間宏矢「風間Jrではなく、『自分は自分だ』というところを見せたい」

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 第90回全国高校サッカー選手権がいよいよ12月30日に開幕する。ゲキサカでは大会注目のストライカーたちに高校日本一決定戦への意気込みなどを直撃。第1回は11年ぶりに全国復帰した名門、清水商のエースFW風間宏矢主将(3年)です。元日本代表MF風間八宏氏(現筑波大監督)を父に持つU-18日本代表候補は、昨年、一昨年といずれも県決勝で敗れて全国出場を逃してきましたが、ラストチャンスとなった今回は静岡決勝で全国高校総体準優勝の静岡学園を3-0で撃破。風間選手自身も1得点、2アシストの活躍を見せて大会MVPに選出されました。今大会、サッカー王国・静岡のMVP男は初めての選手権でどのような輝きを放つのか。

―いよいよ憧れの舞台が目前に迫ってきた
「選手権はテレビで見てきて本当に『ザ・高校サッカー』という感じ。ボクが高校サッカーを選んだのは選手権があるからなので、自分の中では一番大きな大会が近づいてくるにつれて、段々ここに立てるんだなという気持ちになってきました」

―全国の舞台で出来る喜びがやはり大きい? プレッシャーもあると思うが
「全国じゃなくてもどの試合でもプレッシャーを感じているというのはあります。でも年を追うごとに、そのプレッシャーをひとりで抱え込むのではなく、周りの人の応援の声とかも聞いて、段々いい意味でのプレッシャーに捉えられるようになってきている。いろいろな人が見てくれるのはありがたいことなんで、そのプレッシャーを楽しめればいいかなと思います」

―少し尖っていた印象もあったけれど、もういろいろなことを受け入れられるようになった
「いろんなことを評価してもらうことはいいこと。今は全ての評価が自分の成長につながるんじゃないかと思っています」

―特に成長を感じるのは最後ゴール前のところで、力の使い方がうまくなった
「重要な場面で決められる選手を常に目標にしています。そういう意味では大事なところで取れないと上にはいけないと思うし、それは重要視している」

―成長できたのはこれまでの悔しい思いがパワーになったのか、それとも積み重ねが大きかったのか?
「自分は決勝で負けている回数が多い。これまでの決勝はサッカーをやったというか、ボールをほとんど触らないまま終わっちゃっていた。特に選手権の決勝は。だからそれは絶対に嫌だったんで、何でもいいからボールに触って絶対にゴールへつなげる。一回触った時にどれだけゴールにつなげられるかということを考えていた。だからシュートまでの意識を強く決勝で出せたのが、前回や2年前と違ったところだと思う」

―その県決勝では1ゴール2アシスト。「これが風間宏矢だ」というプレーを見せられた
「自分の中でシュートに行くというのが一番の形。外すシュートもあると思っているけど、その中で1本は決めるという部分の強さは自分の強みだと考えている。ずっと外すんじゃなくてどこかで決めれたところは良かったと感じています」

―全国、そして世界で戦える武器になってきた
「海外とか、ドイツへ行ってもそうですけど、何が一番見られるかと言ったら、単純にゴールが一番見られる。ゴールにつながるプレーをやらないと、ただパスが上手かったり、ただドリブルが上手かったりしてもそれは意味がない。だからゴールという意識は年々高く持っていけていると思う」

―今年はフランスやドイツへ練習参加もした。壁として感じた部分は
「自分の中で技術というのは絶対に通用すると思ったし、ドリブルだったり、パス、シュートもそうだけど、その技術の面は絶対上だと思いました。日本人が何故海外で簡単にできないかと言ったら、チームの一員としてのプレーを第一に考えちゃう。だから自分の中では自己チューくらいでいいと。それくらいやらないと見てもらえないと思ったんで、自己チューくらいのプレーをやって、パスを出せてもシュートを打ったりだとか、そういうところは良かったんじゃないかと思う」

―課題は
「前を向くのに無駄がある。ちょっと体の向きを変えたり、ちょっと1m位置を変えるだけで前を向けるのに、1タッチ多くしてしまってもう前に相手がいる状態というのがある。足幅の動きだけで変えられたらまたプレーも変わってくるはず」

―小さい頃から何か特別な練習をしてきた?
「全く特別なことをした覚えはなくて、父さんにはサッカーで遊んでいてもらったと感じでいる。遊んでもらっている中で『宏矢、この蹴り方できるか』と言ってきて、それを自分がやるうちに段々上手くなってみたいな、とにかく楽しかったという感じです。小学校の頃、スパルタの親だったら、『何でこうしないんだ』と言うと思うんですけど、自分の場合は『オマエがいて勝てないんだったらお前の力が足りないんだぞ』くらいでしたね。父さんにはまだ全然追いついていないです。父さんはサッカーへの気持ちが強いです。だから海外でもやれたんだなって凄く思う。父さんも言っていましたけれど、昔のブンデスリーガなんて1回ミスしたらボコボコにされるくらいの怖い環境だったけど父さんは、自分のプレーを貫いて、監督とかにいろいろなことを言われたけれども自分の考えを貫いて認められてきたと。だからそのくらいしないと海外では価値を認めてもらえないのかなと思う。自分はそこはまだ弱くてキレちゃう時がある。毎回必ず力を出せるようにしないといけません」

―今意識している選手は
「ボクはカカ本田圭佑ですね。本田選手はとにかく強いし、ボールを奪われない。取り合えず本田選手のところにボールが行けばボールが落ち着く。ロシアリーグ見ても本当にボール取られないし、強い。自分はそのプレーを目標にしています。あと、自分はドリブルを得意としているんでカカはドリブルができるところから。足が速いというのではなくてボールを持っているときのスピードが凄い。自分も足はそんなに速くないので、ドリブルのスピードとトップスピードが変わらないくらいのドリブルは意識している」

―清商を全国で見てもらいたい。優勝候補にも挙げられているが
「上手くいかないのが全国だと思う。常に自分たちの、平常心のサッカーをやるというところが勝利につながる一番の近道だと思う。この試合だからどうというのではなくて、常に自分たちの基準を満たすくらいのサッカーができればいい。普段の力を出せればあると思う。出せなかったら絶対にキツイ。まず初戦が怖い。しっかり勝てるように。それだけしか考えられない」

―風間選手にとって、清商というのはどのような存在
「自分の中では1年の頃、その前からも『サッカーは清商』というイメージがありましたけれど、入ってからもここが自分の一つの原点じゃないかと思わせるインパクトある経験をさせてもらった。その経験を全部活かせればいい。自分の心に一番残っているのは『上手いだけの選手はどこにでもいるけど生き残っていく選手と言うのはそれプラス戦える選手』と大瀧先生に常に3年間言われたこと。『オマエはまだ全然戦えない』と言われ続けてきたんで、それは年々球際であったり、絶対に負けたくないという気持ちにつながったと思う」

―初戦の対戦相手は熊本代表のルーテル学院
「とにかく頑張るチームだと聞いている。自分たちのスタイルに似ているというのがあるし、その頑張り合いとかで負けないこと。走り負けないことというところから入りたい」

―お客さんも多く入りそうなカード。これまでの1番は県の決勝? 準決勝の試合終了間際にスーパーFKを決めたというコパ・チーバス(U-17日本代表として出場)の決勝もかなりお客さんが入った聞いているけど
「今回の決勝が一番ですね。コパ・チーバスの決勝はチーバスの試合の前座でチーバスの試合は満員でしたけどボクのは1万人いなかったかなと。(準決勝の)あのFKが今までの中でベストゴールでしたね。自分でもビックリしました。ペナルティーアークの10mくらい後ろから蹴って、壁の外側から巻いてバンって打ったらゴールの右角に当たって入って」

―風間宏矢を見たことない人に対して印象付けないといけない
「すでにプレーを見てくれている人たちに評価してもらえることもうれしいですけれど、まだ見ていない人に関しては自分がどんなプレーをするか分かってもらえていないと思う。自分の中では父さんの息子というのがあって知っている人が多いと思う。そう見なくても(風間Jrではなく)、『自分は自分だぞ』というところが見せたい。どのチームが相手でも自分が仕事をしなければいけない。どのチームでも常に力を出せるようにして、苦しいときにこそ試合を決められるプレーをしたいですね」

―ライバルは
「ライバルは(白崎)凌兵ですね。アイツにとにかく勝ってこいよと言われていたんで。オマエが出ないとつまんねぇよと言われていた。山学でアイツは全国出ていて『頼むからオマエに出てほしい』と言われていた。今年頑張って出れたら『ゲキサカ』見て決勝の後すぐに電話してきましたね。お互いプレーも分かっているし認め合っている。戦いたいです」

―最後にゲキサカの読者の方々にメッセージを
「自分の特長を出してチームが勝つということが一番理想。決定的な仕事、ドリブルからのシュートとかが自分のウリなんで、そういうところを皆さんに見てほしいです。ゴールにつながるプレーが自分の一番得意なところだと思う。それはパスにしろアシストにしろ、ゴールにしろ。そのゴールに直結するプレーを見て欲しいです」

(取材・文 吉田太郎)
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