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[選手権]注目FWインタビュー2_山梨学院FW白崎凌兵「記録があるなら負けたくない」

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 高校選手権開幕まであと1日! 12月30日に開幕する第90回全国高校サッカー選手権の注目ストライカーたちのインタビュー特集第2回は山梨学院(山梨)の高校ナンバー1FW白崎凌兵主将(3年)です。J7クラブの争奪戦の末に清水エスパルス入りを決めた注目アタッカーは今大会の“怪物”候補。2年ぶりの日本一、そしてFW大迫勇也(鹿児島城西、現鹿島)が08年度大会でたたき出した個人1大会最多得点記録の10ゴール更新をターゲットとしている逸材は「他とは違う」ところを見せ付けて大会の「顔」となれるか注目だ。

―選手権開幕まで残りわずかになった
「チームとしてもある程度形というものが出来てきた。個人としても動ける幅と言うのは明らかに増えていますし、静岡遠征ではAもBも1敗もしていないので、いい流れで大会に入って行けるんじゃないかと思っています。チームとして戦うことができている。ウチは後半の最後落ちなかったし、ポジティブなところが出ていると思う。ただ練習試合で中川が重度の捻挫をしてしまった。オレらが決勝で『ピッチに立たせてやる』というのはミーティングでも話したんで、みんなの中で団結するいい意味での材料にすれば、それができれば、いいかなと思います。アイツにはまずあきらめないで治すことに専念してほしいですけど、オレらができることは勝つことだけです」

―今回は例年よりも大会期間が短い。走れるチームがより上に来ることも考えられる
「そうですね。初戦は間違いなく重要になる。ただ勝てば勝つほど、自分たちの勝つ確率はどんどん高くなってくると思う。自信はチーム全体が持っていると思うし、(國學院)久我山との試合も後半4発ぶち込むことができた。あと、修正力は凄くついてきている」

―選手権の80分間は他の公式戦よりも短く感じるはず。どれだけ早く対応できるかは重要
「気付いたらすぐに修正出来る方がそれは間違いなくいいし、去年自分たちが負けた試合はそれで変えられなかったのが大きな敗因だった。その反省を1年間、みんなに『相手に対して変えれることも大切だよ』と伝えてきて、今みんなが出来ている。昨年を越えるという自信はかなりありますね」

―もうひとつの『自信』の要因は攻撃力。白崎選手の力とチームメートたちの力が互いに引き出せるようになっている
「自分が怪我した頃があったこともあって、みんながやらなきゃいけないというところが出ている。自分をチーム全体として上手く利用することができるようになったというのは、一番感じているところ。最初はもっと利用してくれればと思っていたけれどそれができていなかった。でも今は自分がいる、自分が立っているというだけで上手く利用してサイドとかに荒木が振るというのがより明確になった。自分がある程度引っ張って相手を真ん中に寄せて、サイドにつないでからも崩せるようになったし、SBも前に出てきて、SBとSHの関係で崩せるようにもなった。サイドに振ったら、そっちのサイドにDFが寄るんで、最後一番いいところで自分が真ん中で空くようにもなった。一回サイドを見せたら、サイド振る振りをして楔を当てるというのは、萱沼や荒木には意識して注文してきたところ。相手も絞りづらいだろうし、そこは良くなった部分だと思う。より怖い攻撃ができる」

―そして最後決めるところは自分で決める
「『最後の部分決めてくれ』、っていう思いはチームメートから伝わってくるし、最後はオレが決めないといけないというところは感じています。最後決める部分だったり、スルーパスの部分だったり得点に絡むところは自分がやらないといけない。この遠征ではできているし、何の迷いもなくこのまま選手権に入れると思います。決める気で行って決められたのはよかったと思う」

―練習試合ではまだ1試合通してと言う感じではなかったけれど、ボールを持ったときの凄みや威圧感も戻ってきた
「持った瞬間から『これは行ける』という自信があるけれど、復帰して明けたばかりの県の時とかはボールを持つのが嫌だったし、ボールがついていないところがあったし、でも自分がやらないといけないというのがあったし、そこが上手くマッチしなかった。でも今はやれる自信があるし、『ボールを持ったら見てくれ』くらいの気持ちでやれている。あとはまだ相手も元気なときにどう崩すかという時、ワンツーやミドルシュートを入れるといいと思う」

―選手権は白崎選手にとってどういうもの
「(準々決勝敗れた)去年のことは鮮明に覚えているし、悔しい大会だった。選手権の借りは選手権でしか返せない。この先自分がプロでいくら活躍しても選手権で負けたというのは一生消えないと思う。だから選手権の借りは選手権で返したいというのが一番ある。優勝したいというのもありますけれど、負けたくないというのがありますね。本当に負けるのは好きじゃないんで」

―初戦(対市立西宮)は西が丘。イメージは固まっている
「スタンドは大きくないですけど、人はほぼ満員に近いくらい入るだろうし、自分としても今年の選手権初戦ということで硬くならずにリラックスして入れればというのがあります。楽しんでいるときが自分は一番いいプレーができているんで、気負わず楽にと言ったらおかしいですけれど、楽しんでプレーできれば結果はついてくると思います」

―どういうところを見てもらいたい
「前向いた時の『他の選手とは違うよ』というところはやっぱり見て欲しいですね。相手も欺くけれど、味方も欺いちゃう時があるんですけど(笑)。『本当にここに出すの』というところにパスも出せるし、でもやっぱり点も取れるという怖さと言うのは自分の特長だし、一番いい部分。ゴールと言う部分にはこだわりたいと思います」

―スパイクの色も派手で目立っている
「自分は目立ちたいというのがあるんで。これだけ目立つスパイク(adizero f50 by miCoach)を履いていれば、まず『アイツが白崎だ』となると思う。そこで自分のプレーを出して、注目されたいというのがあります。多分、山梨学院の試合を見たら『どれが白崎だ』となると思うけれど、これを履いていれば一発で白崎だと分かってもらえると思う」

―刺繍も入っているけれど意味は
「3年間山梨学院でやってきて、このチームのスタッフだったり、選手が好きなんでそれを『I love(ハートマーク)山学』っていう今っぽい感じで入れさせてもらいました。そして今年のチームというのは全国制覇というのを狙っているし、その高い目標を持つということで『全国制覇』という言葉を入れました」

―これはかなり軽いスパイクだけど、スパイクはどう選んでいる
「軽さが一番ですね。軽さとフィット感。自分は一瞬のスピードで相手を抜く部分とか『一瞬』っていうところにこだわっている。このスパイクは軽いし、瞬間的なスピードというのはどのスパイクよりも出ると思う。そこは自分の生命線なんで、自分は本当にこのスパイクが合っています。去年の冬前くらいに『ランシュー並みに軽いスパイクが出たぞ』という感じで先輩が履いていたんで、貸してもらって。それをきっかけにずっと履いていますね」

―これは練習や試合でスピードやスプリントの回数の数値が取れるっていうスパイクだよね
「どこでどういうスピードが出ているか、また自分の一番速い時だったり、自分のウィークを知ることができる。それをトレーニングに活かせば弱点と言うのがストロングポイントに変わると思うし、それを知れるというのは凄くいいと思います」

―清水入りする2012年へ向けて
「2012年は挑戦ですね。(清水では)自分が一番下っ端で入るんで、上見ないといけないし、高い壁があるだけ自分はいいんで、その上だけ見て1年目から挑戦します。まずは慣れようというよりは上手くなるために貪欲にやっていこうと考えています。若手がどんどん頑張ると言うのがチームにもいい刺激を与えると思う。いきなりスタメンで出るのは難しいですけど、チームのためにプラスになるという意味でもどんどんアピールしていきたいと思います」

―代表(12年はU-19代表)へのこだわりもある
「今年は呼ばれていたけれど、大会のたびにケガしてキャンプにしか行けなかった。(U-20W杯の)予選突破もギリギリだった印象ですし、攻撃には不安要素が残っているのかなと。均衡したときに得点を取れなかった。自分の特長は点を取るところだったり、アシストする部分なんで、得点を取るという部分で変えられればいいと感じています」

―改めて“大迫越え”への思いは
「自分、選手権を初めてしっかりと見たのがあの大会なんです。大迫選手ってハンパなかったじゃないですか。右でも左でもズコン、バコンと決めちゃって、もう『何なんだこの人は』みたいな感じで本当に衝撃を受けました。でもああいう選手たちと来年同じピッチで戦うことになる。いつまでも憧れという訳にはいかないし、そういう意味で(個人得点記録は)凄く偉大な記録ですし、簡単にはいかないですけど、あの記録を打ち破れれば、いいなと。『記録があるなら負けたくない』というのがありますね。でも得点王だけにこだわるんじゃなくて、チームが勝つことが大前提。そのための手段という訳じゃないですけれど、そこまで活躍すれば間違いなくチームも上に行ける。チームが勝つためには取るべき選手が取らないとダメだと思うので、ゴールという部分には誰よりもこだわろうという気持ちが強いです」

―怪物と言う期待に対して答えを出す大会でもある
「応えたいですね。(先輩の加部)未蘭クンが怪物候補で終わったので、それを自分が引き継いで(笑)。(昨年から出ている)自分と荒木が引っ張らないといけない。自分がいつもと違うことをやり出したらチームがバタバタしてしまう。逆に自分が平常心を持ってやれば、みんな落ち着いてやれると思う。昨年は注目されていた選手が早く負けてしまっていた。だからこそ『やってやるぞ』という気持ちでいます。ボクは選手権で活躍してプロでも活躍したい。いい大会にして笑って終わりたいです」

(取材・文 吉田太郎)
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