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[選手権]國學院久我山が競り勝つ、決勝点の右高「ファーストタッチで決まった」

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[12.30 全国高校選手権1回戦 國學院久我山2-1東海大五 国立]

 第90回全国高校サッカー選手権が30日、東京・国立競技場で開幕した。開会式後に行われた開幕戦では、3大会ぶり4回目の出場の國學院久我山(東京B)と、11大会ぶり13回目の出場の東海大五(福岡)が対戦。國學院久我山は前半9分、FW富樫佑太(1年)のゴールで先制すると、東海大五も同32分にFW柴田錬(3年)が同点ゴールを決めたが、後半29分、FW右高静真主将(3年)の決勝点で國學院久我山が2-1で競り勝ち、来年1月2日の2回戦に駒を進めた。

 立ち上がりから試合の主導権を握ったのは國學院久我山だった。小気味いいパス回しと両サイドからの分厚い攻撃で相手陣内に攻め込む。前半8分、右サイドから右高がドリブルで中に切れ込み、左足でミドルシュート。これはGKに阻まれたが、このプレーで獲得したCKから先制に成功した。右CKから右高がショートコーナーでDF小比賀奨(3年)に預けると、小比賀がピンポイントクロス。富樫が頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。

 11年ぶりの全国選手権。しかも国立という舞台に浮足立ったか、東海大五はなかなかリズムをつかめない。國學院久我山は前半11分に富樫、同22分に右高が積極的にミドルシュート。中盤からMF渡辺夏彦(1年)、MF山内寛史(3年)が追い越す動きで前線に人数をかけ、細かいパス交換で東海大五守備陣を翻弄し、次々とチャンスをつくった。

 前半25分には左SB井上大(2年)からのサイドチェンジを受けた右高がDFを背負いながら鋭い反転を見せ、右足でシュート。巧みな個人技でゴールを襲ったが、惜しくもGKの好セーブに阻まれた。「都大会の予選では試合の入り方が悪かったけど、今日は先制点も取れたし、悪くなかった。でも、もう1点をたたみかけないと。これから勝ち進むにはそういうところが大切になる」。試合後、右高が表情を引き締めたように、再三の好機に追加点を取れなかったことが、試合を難しくした。

 劣勢の東海大五は、國學院久我山が見せる守備の隙を突いて好機をうかがう。すると前半32分、バイタルエリアでフリーになったMF佐藤亘将(3年)がMF大石奨悟(2年)から縦パスを受け、絶妙なスルーパス。PA内に抜け出した柴田が冷静に右足で流し込み、試合を振り出しに戻した。これで流れを引き寄せ、前半35分にも相手守備陣の乱れを突き、FW藤山凌主将(3年)が決定機を迎える。しかし、シュートは至近距離でGK後藤雅明(2年)がセーブ。前半は1-1の同点で折り返した。

 風上だった前半から単純なロングボールを使うことなく、パスサッカーにこだわった國學院久我山。鮮やかなショートパスが面白いようにつながる場面もあった。それでも、得点は1-1。ハーフタイムに李済華監督は「ボールを回していれば勝てるスポーツではない」とゲキを飛ばし、選手は後半のピッチに入った。

 後半開始から山内に代えてMF白瀧秀斗(3年)を投入した國學院久我山は後半立ち上がりに右SBの小比賀が負傷。後半9分にDF市木良(3年)との交代を余儀なくされる。それでも同11分には白瀧の左クロスのこぼれ球を拾った右高が左足でシュート。これもGKに弾かれたが、積極的なプレーで勝ち越しゴールを狙いにいった。

「パスを回せれば勝つ確率は上がるけど、最後ゴールを入れなきゃ意味がない」。ゴールへの意識を強め、虎視眈々とチャンスを待った右高に絶好機が訪れたのは後半29分だった。左サイドでボールを持った白瀧からのスルーパスに反応。最終ラインの背後を取り、GKとの1対1から落ち着いて左足でゴールに流し込んだ。

「つないでつないでというのを前半から見せていたので、相手はまたつないでくるという意識があったと思う。(白瀧と)2人で感じ合って、裏を取れて、流し込むだけだった。トラップしたとき、右にDFがいたので、左にボールを置いて。ファーストタッチで決まったと思う」。最後はGKの股間を抜く技ありシュート。前半のショートパスが“ジャブ”となり、一発の縦パスで決勝点を奪った。

 MF田邉草民(F東京)らを擁し、初のベスト8入りを果たした08年度大会以来、3大会ぶりの出場となった國學院久我山。目指すは3年前の8強越えだ。「普段の練習からボールをつないで、攻撃的なサッカーを目指している。そこではどこにも負けないというこだわりを持つことが大事だと思う」と右高は力を込めた。もう一度、国立に戻ってくるために。自分たちのサッカーを貫き、新たな歴史をつくるつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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