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[選手権]「恩返ししたかった」、東海大五は闘病乗り越えた平総監督に勝利贈れず

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[12.30 全国高校選手権1回戦 國學院久我山2-1東海大五 国立]

 11年ぶりに全国選手権の舞台に帰ってきた東海大五(福岡)は初戦で涙をのんだ。前半9分にショートコーナーから失点。同32分にFW柴田錬(3年)のゴールで追いつき、風上に回った後半は徐々に攻勢を強めていったが、前がかりになったところをスルーパス1本で崩され、決勝点を許した。「いい時間帯に点を取れるか、取れないかが勝負を分ける。最初のショートコーナーで(ゴール前の)人数が足りなくて失点した。最初の1点が悔やまれる」。大丸忠監督はそう言って唇をかんだ。

 負けられない理由があった。ベンチには白血病を克服し、現場復帰を果たした平清孝総監督の姿もあった。1978年に東海大五の監督に就任し、選手権に12回出場するなど福岡の強豪に育て上げた名将は09年に病にかかり、現場を離れた。骨髄移植の手術を受け、闘病生活を乗り越えて戻ってきた全国選手権。FW藤山凌主将(3年)は「平先生に東海大五に誘ってもらえてうれしかった。自分が1年生のときに病気になって、それでも大事なときにはいつも顔を出してくれた。3年生が進路に悩んでいるときには相談にも乗ってくれた。何とか自分たちで恩返しがしたかった」と言う。1-2の後半ロスタイムには遠目の位置から直接FKを狙った。「絶対に決めてやろうと強い気持ちで打った」が、GKのセーブに阻まれ、同点ゴールとはならなかった。

「流れの中で同点に追いついて、後半は風上になった。ミドルシュートもFKも効くと思っていたが、前向きになったところで一気に裏を突かれた。そこに落とし穴があった」。そう試合を振り返った平総監督は「でも、ああいうところをきっちり決めてくるのが強いチーム」と相手を称え、久々の選手権を戦い終えた表情には微笑みも浮かべていた。

(取材・文 西山紘平)

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