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[MOM521]鹿島学園FW西谷和希(3年)_折れてる右足で圧巻のボレー!!痛みを抱えるエースが決勝点

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 鹿島学園2-1日章学園 西が丘]

 故障を抱えるエースFWが痛みの残る右足で圧巻のボレーシュートを叩き込んだ。1-1で迎えた前半32分だった。マイナス気味の右クロスを受けたU-18日本代表候補FW西谷和希(3年)は迷いなく、右足ダイレクトでシュートを叩き込んだ。強い弾道のシュートはゴールネットを揺らし、鮮やかな決勝点が生まれた。西谷和は「マイナス(のクロス)に合わせるというのは、練習の成果が出たかなと思う」と話すと笑顔をみせた。

 11月13日に行われた茨城県決勝・ウィザス戦(2-2・PK5-3)の前半20分過ぎに、西谷和は右足を負傷。右足第五中足骨骨折で全治3か月と診断された。しかし、必死のリハビリのかいもあり、なんとか本大会へ間に合った。とはいえ、骨が完全にくっついている訳ではなく、完治には程遠い状態のため、この日も痛み止めを服用。「まだまだ8割から9割くらい」というコンディションで、試合に出場すると決勝点を決めてみせた。痛めている右足でのシュートも「アドレナリンが出ていたから気にならなかった」という。

 県大会決勝から、これまでは練習試合で残り5分間に出場する程度。全国1回戦が約1か月半ぶりの本格的な実戦の場となった。鈴木雅人監督によると、再び折れてしまう可能性もあるため、医師の診断により、出場時間には規制があった。しかし、本人の強い意志もあり、この日は先発すると後半20分までプレー。果敢に仕掛けてはゴールをめざした。指揮官も「結果から見れば、いるだけで違う」と故障から戻ってきたエースFWの働きを称賛していた。
 
 決勝点を決めたものの、試合後には「点を取れたことは素直にうれしいですが、自分の持ち味であるドリブルやスピードにのったプレーを生かし切れなかった」と悔しい表情。2回戦へ向けては「まずはコンディションを整えていきたい」と意気込んだ。

 現在3年生の西谷和は、卒業後は流通経済大に進学予定。双子の兄・優希は専修大に進学予定だ。中学・高校と常にともに切磋琢磨してきた双子の兄弟だが、そろってプレーするのは、この選手権が最後になる。「2人で国立で一緒にプレーできたらいいなと思う」。そのためにも、まずは「チームを優勝に導くためのプレーがしたい。得点だけじゃなく、アシストやチームのための犠牲になったり、つぶれ役になりたい」。弟・和希は力強く意気込んだ。

(取材・文 片岡涼)
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
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