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[選手権]遠藤ロスタイムV弾!名門・清水商、復権へ劇的勝利!!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 清水商1-0ルーテル学院 埼玉]

 清商が選手権復帰戦で劇的勝利! 第90回全国高校サッカー選手権は31日、1回戦2日目を行い、埼玉スタジアム2002(埼玉)の第2試合では全国優勝3回の名門・清水商(静岡)が、後半ロスタイムにMF遠藤維也(3年)が決めた決勝ゴールによって1-0で勝利。清水商は1月2日の2回戦で山陽(広島)と戦う。

 11年ぶりの全国舞台初戦は最高の結末が待っていた。実力派同士の熱戦は0-0のまま後半ロスタイムへ突入。誰もの頭にPK戦決着がよぎる中、清水商が劇的な決勝ゴールを奪う。左サイドでFW風間宏矢主将(3年)が前方のスペースへボールを送ると、足を攣らせながらも出場を続けていたMF中田智樹(3年)が「最後全力で『入れ!』と思って蹴りました」と執念のクロスボールを上げる。これに右サイドから飛び込んできた遠藤が左足ダイレクトで合わせると、好守を連発してきたルーテル学院GK市原武己(3年)が触ったものの、脇下を抜けたボールはゆっくりとゴールラインを越えて決勝ゴールとなった。遠藤は「負ける気はしなかった。(シュートは)何とか入ってくれと。(決まった瞬間は)自分でもスゲェな、と思いました」

 4-4-2システムを敷いた清水商に対してルーテル学院は相手のキーマン・風間をMF上原俊喜(3年)がマンマークするような形で対応。風間がボールを持てば時に3人がかりで潰しに行った。ただ、互いがリスクを避けてロングボール中心となった試合で押し込んでいたのは清水商。前半8分にPAのこぼれ球に反応した遠藤の左足シュートがゴール右ポストを叩き、25分には左中間から風間が放った右足FKがゴール左ポストをかすめる。

 一方のルーテル学院はFW伊藤卓主将(3年)を起点に、局面ではMF三北啓矢やMF牧野慎太郎(ともに2年)の技術や左SB吉川凌太(3年)のオーバーラップも活かしてゴールに迫ろうとする。ただ前半ロスタイムに清水商が遠藤の絶妙なアーリークロスから決定機をつくりながらも中田が合わせ切れずに前半を終えると、後半はより両チームの「負けたくない」という思いの出る、拮抗した展開となった。

 清水商は前線でダイナミックな動きを見せるFW佐野翼(2年)や冷静にボールを運ぶ風間の存在によって攻めてはいたが、CB加藤貴教(3年)や市原が好守を見せるルーテル学院の前になかなかシュートまで行くことができず。全体的に攻撃の工夫もなかった。後半25分には左サイドからボールをつなぎ、最後は風間が右中間から強烈な右足シュートを放ったものの、これはGK市原が好反応ではじき出された。CB新井一耀やSB兼岡平(ともに3年)の冷静な対応によって事なきを得ていたがものの、逆にフィフティフィフティのボールを放り込んでくるルーテル学院のしたたかな攻撃と走力に苦しめられた。

 それでも風間が「球際だったり、最後あきらめない点を出せたのが良かった」という清水商は過去11回の出場で初戦敗退が1回だけという底力を発揮。最後の最後で難敵を上回った。来年3月いっぱいで定年を迎える大瀧雅良監督にまずは全国1勝をプレゼントした選手たち。MF小野伸二(現清水)やGK川口能活(現磐田)らを育ててきた名将は「いい緊張感、いい流れでスタートを切れた。お正月を東京で迎えられる」と静かに笑った。スタンドに鳴り響いた伝統の「清商サンバ」と躍動した青いユニフォーム。低迷していた時期は勝負弱さも見られた名門だが、あまりにも劇的な勝利で復権へののろしを上げた。

[写真]注目FW風間擁する名門・清水商が初戦突破

(取材・文 吉田太郎)

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