beacon

[MOM523]近大附FW黄将健(3年)_冷めたチームを熱くしたアタッカーが2得点1アシスト+PK獲得

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 盛岡商1-5近大附 柏の葉]

 身体の内側から熱い気持ちをみなぎらせていた。近大附(大阪)のFW黄将健(3年)が2得点1アシスト+PK獲得。5点中4点を演出する圧巻のパフォーマンスでチームを5-1の大勝に導いた。

 黄、FW刈谷聖哉(3年)、FW吉野竜生(1年)の3トップが流動的にポジションを入れ替えながら盛岡商守備陣を翻弄。「自由にポジションを変えながら、みんな創造性があるので、発想のままにやっている」。3トップの中央を基本とする黄も右へ左へポジションを移し、攻撃を仕掛けた。

 前半18分、左サイドを抜け出した刈谷の折り返しを右足で流し込み、先制点。同25分には右サイドからドリブルでPA内に切れ込み、追加点となるPKを獲得した。同30分にも刈谷とのワンツーで3点目をアシスト。4-1の後半30分には自身の2得点目でダメを押した。

 在日韓国人4世の黄は東大阪朝鮮中級学校出身。「大阪朝鮮高に進学するのが普通だけど、自分は違うところに行って視野を広げたかった。セレクションを受けて、練習内容も面白かったし、広い世界に入ってみんなで勝負したかった」と近大附へ入学した。

 ところが、サッカー部入部当初は「みんな冷めているところがあった」と、熱いプレーを持ち味としていた黄は物足りなさも感じたという。「そこを自分が何とか変えられればと思った」と、練習から言い合いやぶつかり合いになることもためらわなかった。「喧嘩になったりもするけど、みんなが意見を出し合って、ぶつかり合いが増えたのはいいこと」と、積極的にコミュニケーションを取り続けた。

 幼稚園の年少からサッカーを始めた黄は小学校までFCルイラモス・ヴェジットでプレー。同期には京都U-18所属で来季のトップチーム昇格が内定しているU-18日本代表FW三根和起、1学年上にはC大阪のU-22日本代表FW杉本健勇もいた。「一緒にサッカーをしていて楽しかった。(杉本は)デカかったですね。家に泊まりに行ったりもしていました。置いていかれた気しかしないですけど」と笑ったが、この日のプレーにはスケールの大きさも感じさせた。

「チームが掲げているのは日本一。大阪の予選では萎縮してできなかったけど、ここに来て自分たちのサッカーができ始めている。これを続ければ日本一になれると思う」。近大附の過去の最高成績は3回戦。まずはそこに並ぶためにも、来年1月2日の2回戦・聖和学園戦に全力をぶつけるつもりだ。

[写真]ゴールを喜ぶ近大附の黄
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP