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[選手権]「期待を楽しみたい」注目の清水商FW風間は決勝点の起点に

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[12.31 全国高校選手権1回戦 清水商1-0ルーテル学院 埼玉]

 サッカー王国・静岡の期待を一身に背負う清水商FW風間宏矢主将(3年)は「期待を楽しめれば、と思う」と前を向いた。元日本代表MF風間八宏氏(現筑波大監督)の二男で小学生時代から大きな注目を集めてきた。年代別の日本代表に名を連ね、卒業後は欧州挑戦をする予定。今回の県大会決勝では全国高校総体準優勝の静岡学園戦で1ゴール2アシストの大活躍を見せて低迷していた清水商を11年ぶりの全国選手権へと導いた。“風間Jr”ではなく風間宏矢としてしっかりとその価値を高めてきた。

 ただそんな風間にとっても初体験の選手権は簡単な試合ではなかった。ルーテル学院はMF上原俊喜が清水商の背番号8に密着マーク。スローインの際には3人がかりで風間潰しを敢行する場面もあった。ゴール前で自由を与えられることはほとんどなかった。

 それでもボールが入れば相手を引き付けてからの展開や強引な中央突破で可能性を感じさせた風間は、前半25分には左中間での仕掛けで自らFKを獲得すると、ゴール左ポストをかすめる直接FK。さらに後半25分には左前方から来るボールを右足で強く合わるミドルシュートでルーテル学院ゴールを脅かした。

 リスクを回避しようとする意識の強かったチームがやや縦に急ぎすぎる中、大瀧雅良監督が「収めようとしていたのは風間宏矢だけ」と評価したように、風間は技術を活かして攻撃をコントロールしようとしていた。

 それが実ったのは後半ロスタイム。左サイドで相手のマークが緩くなった風間はすかさず前方のスペースへ絶妙なパスを送る。これをMF中田智樹(3年)が中央へクロスを送るとファーサイドから飛び込んできたMF遠藤維也(3年)が決勝ゴールを押し込んだ。決勝点の起点となって“最低限の仕事”をした風間は今後へ向けて「マークは自分のところへ来る。それでも前を向いてしっかりと仕事がしたい」と力を込めた。優勝を期待されるチームにとってはまだ1勝。名門のエースであり、偉大な父の血を受け継ぐサラブレッドというプレッシャーを力に変えて、風間宏矢が選手権の星となる。

[写真]清水商FW風間は決勝点の起点に

(取材・文 吉田太郎)

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