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[MOM529]山陽GK山石寛英(3年)_カーン好きの“PK戦専用GK”が殊勲の1セーブ!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 西目0-0(PK3-4)山陽 NACK]

 大きく両手を広げ、相手を威圧する。表情キリッと、相手をじっと見つめた。12年ぶり出場の古豪・山陽(広島)は0-0の末のPK戦4-3で西目(秋田)に勝利したが、PK戦用に投入された“PK職人”GK山石寛英(3年)が奮闘した。

「勝てて嬉しかったです。山陽としては19年ぶりの選手権勝利なので、本当に嬉しかったです。PK戦は無我夢中でプレーしました」

 山石の声が弾む。山陽としては2大会ぶり、1992年度の第71回大会以来となる19大会ぶりの選手権勝利をつかんだ。1967年度大会に優勝(洛北との両校優勝)している古豪だが、しばらく辛い時代が続いた。今大会は12年ぶりの出場。猛攻を受け、守備に追われる試合だったが、何とかPK戦を制して白星をつかんだ。

 山石は後半終了間際の39分から出場した。竹本浩監督は「夏のインターハイの県予選のころですかね。選手たちからPK戦になったら山石を、という意見があった。山石はPK戦専用のGKなんです」。この日、スタメンは背番号「21」のGK大浦翔太(3年)で、そこまでしっかり0に抑えていたが、PK戦突入が濃厚となり、きっぱりと代えた。そもそもこの試合、正守護神の背番号「1」二井建治(3年)は背筋痛のためベンチ待機だった。GKは実戦経験の少ない2選手に委ねられていた。

 山石は先発をつかめなかったが、PK戦に備えて待っていた。「(後半終了の)20分前くらいからランニングをして体を温めていました。PKになるまでは緊張しましたけど、PK戦に入ったらいつもどおりの自分が出せました」と山石。そもそも、身長は3選手のうち最長の182cm。大きな体をさらに大きく見せるように、両手をめいいっぱい広げてゴールマウスに仁王立ちした。西目の2番手・渡部裕幸(3年)のキックをセーブ。4番手・齋藤瑠威(3年)のキックは、上に外れた。山西の迫力が勝ちだった。決められたキックもすべて方向は読んでいた。

 大好きなGKは、元ドイツ代表のオリバー・カーン。山石の年齢を考えると、憧れるには年代的に少し上の選手のような気もするが、「闘将と呼ばれていて、味方にも恐れられるくらいでかっこいいです。子供の頃、W杯での活躍をテレビで見て、好きになりました」。両手を」大きく広げて体をさらに大きく見せ、相手を睨むように見つめるのものカーンの影響。大一番でまさに“山陽のカーン”となった。

「練習を見ていても、そこまで気負っていないし、自分は2番目、3番目のGKだけど、自覚を持ってしっかりとやりたい、と(監督と交換するサッカー)ノートにも書いていた」と竹本監督。そのひたむきでサッカーに真摯に取り組む性格を評価した。本人も「先発で出たい?」の問いに「チームが勝てればいいです。どんな役割でもいいんです」とフォア・ザ・チームを強調した。「自信がつきました。次もPKになれば、止めたいです」と山西。2回戦の相手は名門の清水商(静岡)だが、守り抜いてPK戦に持ち込めば……。そのときは再び“PK職人”が立ちはだかる。

[写真]“PK戦専用”GK山石が大仕事
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

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