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[選手権]右高が後輩を助ける2発! F東京・田邉の応援を受けた國學院久我山が逆転勝ち

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[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿島学園1-2國學院久我山 柏の葉]

 第90回全国高校サッカー選手権は2日に各地で2回戦を行い、柏の葉公園総合競技場では鹿島学園(茨城)と國學院久我山(東京B)が対戦した。鹿島学園が前半26分にセットプレーから先制したが、國學院久我山は開幕戦の東海大五(福岡)戦でも決勝弾を決めているエースFW右高静真(3年)が活躍。2得点を決めて2-1の逆転勝ちに導いた。3日の3回戦では矢板中央(栃木)と対戦する。

 持ち味の攻撃サッカーで序盤から主導権を握っていた國學院久我山だが、前半26分に先制点を許してしまった。CKの場面で、GK後藤雅明(2年)がキャッチミスをしてしまい、鹿島学園DF門倉純一(3年)にヘディングで押し込まれた。悔しそうな表情を浮かべる後藤に、エースで主将の右高が声をかけた。「東京都の予選でもミスがあって、そのときGK自身も下を向いたりしていた。2年生ですし、自分から声をかけた。『悔やむのは試合が終わってからできる。試合中は切り替えてやれ』と言いました」。

 言葉だけではない。ゴールで嫌な流れを絶ち切ってみせた。失点からわずか3分後の前半29分、PA手前でボールを受けると、複数のマークに囲まれかけたが、得意のドリブルでシュートコースを見つけて左足を一閃。ゴール右下に決め、1-1の同点に導いた。「(試合始まってから)DFの枚数が多いなと感じたので、シュートのタイミングが大事かなと思っていた。全部抜き切るのは難しいと思ったので、切り返してシュートコースを作った」。さすがのプレーで振り出しに戻した。

 頼れるエース&主将の一発。これで完全に國學院久我山がペースを握る。4-3-3のシステム通り、サイドを存分に活かして押し込んだ。そして後半10分、右高が逆転に導いた。右サイドでパスを受け、再び得意のドリブルで突進。PA内に進入し、左足で右下に沈めた。「イメージ通りでした。最初は縦に流れて、次は、DFが準備してないというか、中に行くと思っていなかったようなので、切り返して打ちました」。さすがは元横浜FMのジュニアユースといえるゴールだった。

 終盤、相手の猛攻を受けたが、しっかりと逃げ切りに成功した。ただ、バルセロナのサッカーを目標にする國學院久我山だけに、満足はしていない。右高は「2点とれたことはすごく良かったです。それがチームの結果につながったので、嬉しかったです」と言いつつも、サッカーの内容については「あまり良くなかった。最初の方とかは、相手にやられた部分がある。芝が悪くてミスが多かった。自分もそうだし、チームとしても減らしていかないといけない」と課題を口にした。たしかにこの日の柏の葉は、ピッチの至る所にデコボコがあり、プレーしにくそうだった。ただでさえ、普段は人工芝で練習しており、余計に神経質になってしまったという。

 そんなチームを右高が開幕戦に続く2試合連続決勝弾で勝利に導いた。李済華監督も「右高に感謝しないといけない。いつも怒ってばかりですが、感謝しないといけないですね」と大絶賛した。スタメン11人中、3年生は4人だけで、他は2年生が4人、1年生が3人と若いチーム。まさに右高がプレーでも、精神面でも引っ張っている。右高も「プレーで見せないといけないというのが軸にあるけど、年下が多いので、キャプテンとして声をかけないといけないし、気を使わないといけない。それを心がけています」と自覚十分だ。

 目標はもう一度、国立競技場に戻ること。つまりベスト4だ。それに向け、頼もしい“応援団”も訪れた。この日、同校最高成績の8強入りを果たした2008年度大会のエースだった、現FC東京MF田邉草民から激励を受けた。試合後、田邉から「自分たちは8強で終わったけど、意識を高く持って、こだわってやれよ」などとアドバイスを受けたという。選手たちは大きな刺激を得た。3回戦も応援に駆けつける予定という。

「若いチームと言われていますが、良い意味で勢いに乗れればいいですけど、甘さがあるかなとも思う。集中力が切れるときがある。それだと次に勝ち進めない。強く言っていかないとけいないですね。自分としてはオフェンスなんで、点を意識していきたい」と右高は強い決意を示した。次戦の相手は矢板中央と難敵だが、再びエースが若いチームをプレーでも精神面でも牽引する。

(写真提供『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

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