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[選手権]過去2大会で14失点の中京大中京が作陽を完封!PK戦制し6年ぶり1勝!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 中京大中京0-0(PK7-6)作陽 西が丘]

 第90回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行い、東京・西が丘サッカー場の第1試合、中京大中京(愛知)対作陽(岡山)戦は0-0からのPK戦の末、中京大中京が7-6で勝った。05年度大会以来となる初戦突破を果たした中京大中京は、3日の3回戦で済美(愛媛)と戦う。

 中京大中京が3年連続13回目、作陽が7年連続20回目の出場という全国常連校同士の一戦は、PK戦で決着がついた。作陽は2人目のSB森脇翔生(3年)の左足シュートが右ポストを叩いたが、相手4人目のMF宮越昌洋(2年)の右足シュートを背番号2のGK久光悠馬(3年)が左へ跳んでストップする。だが6-6から8人目のキッカーとしてペナルティスポットへ向かった久光の右足シュートは、無情にもクロスバーの上方へ。直後に後攻・中京大中京の8人目、加藤優汰(1年)の右足シュートがゴール左上へと突き刺さり、全国大会初戦で4連敗中だった中京大中京が3回戦へ駒を進めた。

 中京大中京はアーセナルFW宮市亮の実弟である1年生FW宮市剛を1トップに配置した4-2-3-1、作陽もJ注目のMF高瀬龍舞主将(3年)がダブルボランチの一角に入る4-2-3-1システムでスタート。ボールを支配したのは、高瀬とMF岡村憲明(2年)が最終ラインにまで下がってボールを引き出し、攻撃を組み立てる作陽だった。前半2分にはディフェンスラインの背後へ抜け出したMF池田優真(3年)が決定的なシュートへ持ち込み、15分には敵陣でのインターセプトからショートカウンター。だがMF山本直輝(3年)の右足シュート、またこぼれ球に反応した岡村の決定的な左足シュートはいずれも中京大中京GK平岡侑樹(3年)の好セーブによって阻まれてしまう。

 中京大中京は1年生MF速水聖矢とMF藤橋弘貴(2年)が相手を振り払う場面も見られたが、作陽ディフェンス陣に脅威を与えることはできない。それでも4バックと5人の中盤が献身的にプレッシャーをかけるなど、相手の攻撃のスピードを消してミスを誘発。プリンスリーグ中国1部を制して出場した全国リーグのプレミアリーグ参入戦で済美(愛媛)から5得点を奪うなど攻撃力に定評のあった作陽だが、この日は高瀬が「(ボールを)離すタイミングが遅くていつもらしくなかった」というようにチーム全体でミスが重なり、濃赤の壁を突破することができなかった。
 
 作陽は後半6分にもFW辻井和明(3年)の強烈なプレスから山本直が決定機を迎えたが、この日大当たりの平岡が1対1からの右足シュートをビッグセーブ。ロングボールが増えた作陽は相手CB梶田翔吾(2年)らに弾き返されると、セカンドボールを失ってしまう場面も多く、攻め切ることができない。逆に中京大中京は前半起点になりきれていなかった宮市が後半巻き返して空中戦で対抗する。12分には藤橋が右サイドのスペースへ送ったパスを宮市が中央へクロス。これを速水が決定的なヘディングシュートへ持ち込み、26分には右SB社本雄吾(2年)がパス交換から左足シュートを放つなど後半は相手ゴールへ迫る場面を増やした。

 それでもよりチャンスをつくっていた作陽は38分に左クロスのこぼれ球に反応した高瀬が決定的な右足シュート。だが中京大中京はこれをDFの必死のカバーで凌ぐと、39分に辻井がゴールエリアから放った一撃を再び平岡がはじき出して得点を許さない。過去2大会の初戦で計14失点を喫している中京大中京だが、ゲーム主将のMF前田清孝(3年)が「1年間やってきたことは身体を張って守ること。これはしっかりできた」と振り返る守りによって無失点。これがPK戦勝利を呼び寄せた。かつて名古屋グランパスなどで活躍し、昨年2月から母校の監督に就任した岡山哲也監督も「(以前は)ゴールライン際で足を出さずにクロスを上げられてしまうような場面があったけれど、きょうは『最後足を出した』。そういったプレーが変わりつつある」と評価。そして殊勲の平岡は「昨年と比べてプレッシャーが速くなった。自由にやらせなかった。ディフェンス力が上がったと思う」。

 中京大中京は夏に長野で5日間の走り合宿を行うなど走力と精神力を鍛えなおしてきた。そして「10月まで自信がない状態が続いていた」(岡山監督)チームも結果がついてきたことによって徐々に自信を深めた。そして宮市亮を擁した昨年、一昨年でも奪うことができなかった1勝を全員の力で達成。6年ぶりの白星は成長したディフェンス力と勝利へのどん欲な姿勢によってもたらされた。

(取材・文 吉田太郎)

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