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[MOM542]桐光学園FW佐野弘樹(3年)_ザ・キャプテン!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 米子北1-5桐光学園 等々力]

桐光学園の10番にしてFW、そしてキャプテンをつとめるのがFW佐野弘樹(3年)。前線でのボールキープと労を惜しまないチェイシングに周りをみつめるキャプテンシー、かつ点取り屋。今年の桐光チームの「顔」がこの試合でも躍動した。

「プレスにいって、中盤から支配するのがうちの長所。前(線の選手)からいけば後ろもついてくる」
という言葉どおり、まず目に付いたのは献身的なプレーを率先して行う姿だ。桐光DFが必死になるシーンが少なく見えたのは、決して米子北の攻撃力が弱いからではない。桐光が前線からプレスをかけることで相手の推進力を削ぎとっているから。そう分からせてくれる象徴が、佐野のどの局面にも顔を出す運動量だった。

この試合では米子北DFのマークが厳しくついた。しかしボールを持っても奪われない。絶妙なボールコントロールと体の入れ方でボールをキープする。
「ゴール前で自分にマークがつくということは、他にいかせる選手が出てくるということ。うちには攻撃好きな選手が多いので、前でタメを作ってつぶれ役になれば他の選手をいかせる」
前半4分、ゴール前でつぶれ役となってボールを出しMF生部麦(3年)のゴールを演出したシーンなどは、まさにこの言葉を裏付ける。
そして後半15分には自らヘディングシュートを決め、試合の流れを確かなものに。FWとしてもきっちり役割を果たした。

そして最後にキャプテンとして。
「前半の最後に喫した失点はしてはいけない時間帯だし、許してはいけない。ここは反省すべきところです」
前半を同点で折り返したハーフタイム、FWでありながら、まずは失点しないようにと仲間を鼓舞したという。このチーム全体を気遣えるキャプテンシーも見事だ。

佐野は同校先輩の中村俊輔と同じく横浜F・マリノスジュニアユース出身。小学生時には全日本少年サッカー大会で全国制覇を経験している。その過去が影響している点はあるのか。
「小学生の時はサッカーを1戦1戦、楽しむ感じでした。その延長線上に全国優勝があった。でも高校サッカーはみんなと1日中ずっといっしょにいるし、応援も毎日学校で会う人たちが来てくれる。今は試合に出られない人のぶんもがんばろうという気になれるんです」

運動量に技術、そして判断力。どれも目立つが、これらを佐野の長所とするには説明が足りなすぎる。いうなれば「人間がデカい」。

現在コンディションは良好、体が軽く感じられるという。桐光の「顔」は、かつてと違う全国優勝の味を求め、チームとともに加速モードへ突入した。

(取材・文/伊藤亮)

(写真提供『高校サッカー年鑑』)


【特設】高校選手権2011

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