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[MOM544]國學院久我山FW大畑圭輔(3年)_エースを活かす“名脇役”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿島学園1-2國學院久我山 柏の葉]

 バルセロナ流の3トップシステムで攻撃サッカーを展開する國學院久我山(東京B)。エースとして主将として、チームの大黒柱なのは横浜FMジュニアユース出身で、この日も2得点を決めたFW右高静真(3年)だが、周りも良い選手が揃わないと、良いサッカーはできない。そう、メッシだけではダメ。攻撃にアクセントを加える役として奮闘したのが、左FWを務める大畑圭輔(3年)だった。

「静真は決定力がある。練習中でもとにかくシュートがうまい。あいつにシュートを打たせるように、周りがやらないといけないんです。あと一歩のところでパスして、シュートを打たせるのがいい。あいつが、何かやろうやろう、となっちゃうときは逆に悪いとき。開幕戦もそうでしたけど。そうならないように、自分がワイドに開いて受けてパスを出したほうがいいんです」

 ゴールこそなかったが再三、左サイドを仕掛けてマークを引きつけ、右高に“良い状況”を作り出した。アシストこそなかったが、何度も左サイドに開いたり、また中に絞ったりとボールを引き出した。もちろん、自分でもシュートが打てるタイプ。中に切れ込んで右高の5本に次ぐ4本を放った。鹿島学園(茨城)守備陣は、右高だけのマークではすまず、大畑にも注意を注いだ。それがマークを分散させ、エースの活躍につながった。まさに“名脇役”だ。

 とはいえ、大畑も柏レイソルU-15の出身。チームメートには、2011年シーズンに2種登録ながら、トップチームに帯同していたMF山中亮輔がいる。そのころは大畑も中盤で、突破が持ち味の山中にパスを出す役目だったという。理想の選手も、現在は名古屋の監督を務めるストイコビッチで、「自分で言うのは恥ずかしいですが、パサーでした」と大畑。高校に入ってウィンガーになったが、今でも人を活かすことが好きだ。それが、個人でも打開できる力を持っているのに、エゴを出しすぎずにパスも出せる理由の一つだ。

 柏レイソルではU-18に昇格できるチャンスはあったが、早々に高校サッカーを選択したという。「自分は小6のときに、野洲が(2005年度の第84回大会で)優勝したのを見て、選手権に出たいと思った。乾選手(乾貴士、ボーフム)は凄いなと思って見ていました」と明かす。國學院久我山の目標はひとまずMF田邉草民(FC東京)を擁した2008年度の8強だが、大畑の夢は日本一だ。

「今日はシュートがダメでした。打てる時は打っていきたい。枠に入れて決めたいですね」。左サイドを駆け抜けてエースにチャンスを作り出し、もちろん、自らもゴールを奪う。野洲時代の乾も、アシストもゴールも決めていた。ポジションや役割は違うが、大畑が目指すのはそこだ。自分らしいプレーで勝利に貢献する。

(写真提供『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

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