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[選手権]「変わらないとこういう甘さが絶対に出てしまう」清水入りの白崎は屈辱の敗戦糧に飛躍を

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[1.2 全国高校選手権2回戦 市立西宮3-2山梨学院 西が丘]

「サッカーは難しいと痛いほど感じた試合」。V候補・山梨学院(山梨)の高校ナンバー1FW白崎凌兵主将(3年、清水エスパルス加入内定)は相手指揮官に「次元が違う」と言わしめるほどの才能を随所に発揮したが、無得点で選手権から姿を消した。

 前半は圧倒的だった。白崎は中盤に落ちて捌き役をこなしながらもゴール前に再び顔を出して決定機に絡む。前半34分には右サイドからのパスを受けると絶妙なターンでDFを外して決定的な左足シュート。だが、これがGK正面を突くなどゴールを奪うことができない。前半だけでシュート11本を放つなど市立西宮を完全に押し込んでいたチームも2点目が遠かった。逆に前半終了間際、1チャンスをものにされてPKから失点。「焦りすぎた」後半は白崎自身、やや前に入りすぎる場面もあり、チームに落ち着きを与えることができなかった。

 ドリブルで1人、2人と置き去りにしてPA近くまで突進し、相手に囲まれながらも何とか振り払おうとしていた。倒れても再び起き上がってゴールを目指した。だが、一度手放した流れは戻ってこなかった。結局カウンターから喫した後半の2失点が響き、2-3で敗戦。目に涙をためたままロッカールームから出てきた白崎は「もっと仲間とサッカーしたかった。悔いが残らないと言ったらウソになる。(サッカーは)一回のプレーで流れが変わってしまう。出たヤツたちがつなげていかないといけない」と後輩たちにメッセージを送った。

 11年は股関節痛に悩み、公式戦出場はわずか15試合ほど。全国大会の県予選や全国大会のみ出場する形でシーズンの大半をリハビリに充てていた。選手権県予選もコンディション不良で白崎本来の凄み、ボールを持っただけで感じさせるような威圧感が消えた状態でのプレーだった。それでも全国切符をつかんでくれた仲間に感謝し、恩返しを誓って臨んだ全国。「白崎は違うゾというところを見せたい」と強い意志を持って戦った舞台だった。完調ではなかったものの、それでも「違い」を示して見せ場は何度もつくった。ただ、勝利をもたらすことはできなかった。

 これから挑戦するプロの世界ではどんな状況でも結果を求められる。「甘えられない、厳しい世界に行く。変わらないとこういう甘さが絶対に出てしまう。(きょうの自分のプレーを)受け入れて前進したい」。選手権でも、プロでも活躍するという夢は潰えた。ただ、今後大きく飛躍するための材料を知って高校ナンバー1FWはJの世界に飛び込む。 

(取材・文 吉田太郎)

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