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[選手権]宮市2発で中京大中京が初の8強、準々決勝は“リベンジマッチ”

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[1.3 全国高校選手権3回戦 中京大中京3-2済美 駒沢]

 第90回全国高校サッカー選手権は3日、各地で3回戦を行い、駒沢陸上競技場では中京大中京(愛知)と済美(愛媛)が対戦した。中京大中京はFW宮市剛(1年)の2得点などで3-2で競り勝ち、同校初の8強入り。愛知県勢としても28大会ぶりのベスト8となった。5日の準々決勝では四日市中央工(三重)と対戦する。

 前半、風下に立った中京大中京だが、立ち上がりから果敢にチャンスをつくった。前半6分、MF藤橋弘貴(2年)の縦パスにFW宮市剛(1年)が走り込むと、185cmの長身を生かした長いストライドでDFの前に体を入れる。シュートはゴール左へ外れたが、同9分にもMF熊谷知紀(3年)のスルーパスからオーバーラップしたDF社本雄吾(2年)が右足でミドルシュート。しかし、これはGK岡田滉平(1年)の好セーブに阻まれた。

 その後は追い風の勢いに乗った済美が徐々に中京大中京を押し込んでいく。前半15分、FW藤本佳希(3年)が個人技で突破しシュートまで持ち込むと、同17分にも縦パスに抜け出した藤本が左45度から狙ったが、いずれも枠を捉え切れない。同20分にはFW青木芳史(3年)の右クロスをファーサイドでフリーのMF関岡佑洋(3年)がシュート。しかし、これはゴールライン上でDF應和祐希(1年)にクリアされ、決定機を逃すと、前半終了間際に痛恨の失点を喫した。

 中京大中京は前半39分、左SB河合弾(2年)のクロスをMF荒木傑大(2年)がワンタッチでつなぎ、ゴール前中央から宮市が落ち着いて左足でゴール右に流し込む。宮市の全国選手権初ゴールで1-0とリードし、前半を折り返した。

 後半開始直後の17秒、済美はMF山脇航(3年)のループ気味のシュートがクロスバーを叩く好機をつくるも、風上に回った中京大中京が勢い付く。後半2分、熊谷のスルーパスに反応した宮市がゴール前に抜け出し、確実に右足でゴール右隅へ。宮市が“4分間”で2点を奪い、2-0と突き放した。

 しかし、済美も簡単には引き下がらない。後半7分、相手DFのミスを突き、青木のゴールで1点差に追い上げると、一気に攻勢を強めた。後半10分のCKのチャンスでは、相手GKがゴールを空けて飛び出したところをDF伊藤達彦(3年)がヘディングシュートで狙うが、必死に戻ったGK平岡侑樹(3年)が何とかかき出す。同15分、青木の左クロスのこぼれ球を狙ったMF堀内鍵吾(3年)の強烈ミドルもGKの好セーブに弾かれた。

 押し込まれながらもカウンターから試合を決める3点目を狙う中京大中京は後半20分、ロングボールから宮市が突進。DFを振り切り、左足で放ったシュートはGKの好守に阻まれたが、同26分、ダメ押しに成功した。MF速水聖矢(1年)の左クロスを熊谷が右足で叩き込み、3-1。再び2点差に突き放した。

 済美は後半38分、青木のスルーパスに抜け出した山脇がPA内で倒され、PKを獲得。これを藤本がゴール右上に決め、1点差に詰め寄ったが、反撃もここまで。中京大中京が3-2で逃げ切り、初の準々決勝に駒を進めた。

 試合前、「歴史を変えよう」と選手を送り出した岡山哲也監督は「押し込まれていた時間に先制して、後半立ち上がりに追加点を取れた。10月ごろまでは逆に相手に点を取られていた時間帯。あの2点目でチームが落ち着いた」と、チームの成長ぶりに目を細める。

 準々決勝で対戦するのは四日市中央工。今季のプリンスリーグ東海1部で2度対戦し、結果は2-2、2-11。「9月に対戦したときは11点取られて遊ばれた借りがある。この大舞台での対戦を楽しみにしているし、当時のチームとは確実に違う」と自信を見せた。

 中京高(現・中京大中京高)卒業後、名古屋、新潟でプレーし、J1通算306試合45得点を記録した岡山監督は昨年2月に監督に就任。過去4回連続で初戦敗退に終わっていた母校の歴史を1年目で塗り替え、次はいよいよ国立を懸けた対決だ。岡山監督が中京高3年だった91年度の全国高校選手権では3回戦で四日市中央工と対戦し、PK戦の末に敗れた“因縁”も持つ。

「ダブルで借りがある? ダブルというかトリプルというかフォースというか……。とにかくたくさん借りがある」。東海のライバル校との激突。「中京が選手権初勝利を挙げた相手が四中工という歴史もある(中京が初出場した82年度大会1回戦で四日市中央工に1-0勝利)。それも我々の助けになる」。初の4強、初の国立へ。四中工へのリベンジを果たし、新たな歴史を刻むつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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