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[選手権]桐生一は4選手で4得点。“誰でも取れる”力を発揮して初出場で8強!

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[1.3 全国高校選手権3回戦 桐生一4-1奈良育英 ニッパ球]

 第90回全国高校サッカー選手権は3日に3回戦が行われ、横浜市・ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では桐生一(群馬)と奈良育英(奈良)が対戦した。接戦も予想されたが、桐生一は攻撃陣が奮闘。J1新潟に内定のFW鈴木武蔵(3年)の2戦連発を含む4選手による4得点で4-1勝利。初出場ながらベスト8をつかんだ。

 桐生一の連動性ある攻撃が機能した。3-0勝利した初戦の2回戦・大社(島根)戦で鈴木がハットトリックを達成して話題を集めたが、他にも好選手が揃っている。もちろん鈴木も、さすがは“J戦士”の実力通りこの日も1得点1アシストとさすがのプレーを見せたが、4選手で4得点と“どこからでも点が取れる”力を印象付けた。

 まずは前半37分だった。左サイドからMF池田稔樹(3年)のクロスを鈴木が丁寧に落とし、1・5列目のMF吉森恭兵(2年)が左足でしっかりと突き刺した。「練習でやっている形が試合で出せた。自分もゴールを取りたかった。今日は周りをうまく見て動けた」と吉森は明かしたが、ここから桐生第一の“全員攻撃”がスタートした。

 鈴木だけでなく、ボランチのMF金田理央(3年)のパスワークから、吉森やFW遠藤葵(3年)、池田やMF古沢友希(3年)らが積極的に仕掛けた。鈴木にマークが集中することもあり、彼の背後から横からと“穴”を探した。後半2分に1点を返されたが、動揺することはない。同15分に勝ち越しに成功した。古沢希のスルーパスに遠藤が走り込んで右足一閃。2-1の逆転に成功した。

 そして後半26分には、吉森の縦パスを受けて鈴木がドリブル突進。相手を振り切り、右足で丁寧に決めた。同39分には池田のパスに抜け出した金田が4-1とするダメ押し弾で試合を決めた。「チームとしてうまく連動してゴールが取れた。今までやってきた成果が出た。ムサシが厳しいマークを受けることは分かっていたので、それをうまく使おうと話していた」と金田。J1新潟に内定の鈴木をおとりにし、周りがゴールを狙う作戦。それが見事にはまった。金田のパスワークや吉森や遠藤の突破力があるからこそ、できる戦い方だった。

 桐生一は初出場ながら8強入りを果たした。2試合で7得点1失点と最高の結果を残している。小林総監督も「今日は相手が引いてくれたのでうちのサッカーをやり続けられた。4得点は出来過ぎですね。とはいえ、チャンスを考えると、もう少し取れた」。名門・前橋育英を倒しての選手権とあり、目標は高い。吉森は「前橋育英のほうが強いかもしれない。みんな全国で勝ちたい。上に行きたいと思っている。全国制覇したいと思っている」と言い切った。

 5日の準々決勝の相手は、尚志(福島)に決まった。相手はプレミアリーグイーストで戦う難敵だが、怯むつもりはない。相手も桐生第一を初出場とは見ないだろう。この日は鈴木をおとりに使ったが、吉森は「相手も分析してくると思う」と明かす。4日の練習でもう一度、攻撃の形を整備して国立がかかる一戦に挑むつもりだ。同校の歴史に名を残す8強入りであったと同時に、桐生一は鈴木武蔵だけじゃないと、ライバルたちにそう思わせる大きな一勝になった。まさに総力戦で快進撃を続ける。

(取材・文 近藤安弘)

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