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[MOM558]桐生一FW鈴木武蔵(3年)_1G1Aの数字に“おとり”でも貢献

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 桐生一4-1奈良育英 ニッパ球]

 自分のマークが厳しければ、仲間のために“おとり”になる。J1新潟に内定で、初戦の大社(島根)戦でハットトリックをして一気に注目を高めた桐生一のFW鈴木武蔵(3年)だが、この日も1ゴール1アシストで4-1勝利に貢献した。さすがの2戦連発だが、評価できるのは数字に残る部分だけではない。この日は“見えない部分”でも貢献した。

 後半15分だった。2-1と結果的に決勝弾となるゴールをFW遠藤葵(3年)がスルーパスに反応してドリブルで仕掛けてシュートを決めたが、この際、並走していた鈴木は右に開く進路を取った。相手DFは鈴木につられて動き、遠藤のマークは緩くなった。この時点で、勝負ありだった。ジャマイカ人の父を持つハーフで、その身体能力にばかり注目が集まるが、動きの質もさすがは“J戦士”の域にあった。

「あの時は葵が見えた。自分が逆に走ることで、DFが迷うと思った。うまくはまってくれたと思う」と鈴木はしてやったりの表情だ。遠藤も「ムサシがマークを引きつけてくれた。ああいうのをみんな意識していた」とニヤリと笑った。このシーンだけではない。この日は自分から行くところと、サイドに開くところと、いろんな動きをしていた。「昨日の試合で自分が点を取ったので、相手もビデオを見たりして自分のマークに付くと思った」と鈴木は明かした。

 ただ、相手の3倍のシュート15本を放ち、鈴木も5本とチャンスがあっただけに、「もっと取りたかった」と不満をもらした。小林総監督も「シュートが少ない」とさらなる奮起を求めた。期待が大きいだけに、求めるレベルも高いのだろう。だが、エゴを出すだけでなく、周りも使うプレーができたことで、5日の準々決勝の尚志(福島)戦では、より幅の広いプレーができるかもしれない。

「もっと落ち着いてプレーできるようにしたい。周りをしっかりと見て動いて、パスを受ければ、前を向けてチャンスが増える。得点王? それはFWなので狙っていきたい。シュートの本数をもっと増やして、取れるだけ取りたいです」と意気込んだ。そして「しっかり明後日に向けて休みたい」と鈴木。目標は国立、そして日本一。規格外のストライカーは再びエネルギーを貯め、爆発に備える。

(取材・文 近藤安弘)

(写真提供『高校サッカー年鑑』)


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