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[MOM175]専修大MF長澤和輝(2年)_準決勝で"記憶なくした"MFが国立で鮮やか先制弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全日本大学選手権・決勝 専修大3-0明治大 国立]

 準決勝で"記憶をなくした"MFが決勝の大舞台で値千金の先制点を決めてみせた。初出場初Vをめざす専修大は明治大と対戦。互いに守備が固く、先制点が鍵を握る一戦となった。そして、0-0で迎えた後半8分に専修大MF長澤和輝(2年=八千代高)が鮮やかな個人技でミドルシュートを沈める。このゴールで勢いづいた専修大は3-0で勝利し、日本一の座に輝いた。

 試合後、長澤は「1年間練習をしていた形でのシュート。本当に練習通りのシュートだった。点をつけるなら? 100点です」と笑顔をみせた。MF町田也真人(4年=埼玉栄)からのパスを受けると、DFを背負いながらも思い切り右足を振りぬいた。「相手を抜ききらずに、ずらしてシュート」という練習通りでの一撃はゴールへ吸い込まれた。専修大の源平貴久監督も「0-0で前半を折り返したのが大きいが、あそこで長澤が個人の力で大きく1本を決めてくれたのが良かった」と2年生MFのゴールを喜んだ。

 実は長澤は、昨年12月25日に行われた準決勝・中京大戦(2-0)で負傷していた。前半の接触プレーで頭を強打。「自分がなんでここにいるのかわからない」という一時的な記憶喪失状態に陥った。それでも「高校のときにも同じことがあって、徐々に記憶は戻っていってプレーしたので、大丈夫だと思った」とプレーを続けた。ハーフタイムにも"異変"が起きたことは誰にも伝えず。必死に90分間を戦い抜くと、試合後には「自分のプレーは2、3回のシーンしか覚えていない状況だった」という。その後、全日本大学選抜のトレーナーに状況を相談。様子を見ながら、トレーニングを継続すると、幸い大きなケガに至ることなく、そのまま決勝戦を迎えることができた。

 そして決勝戦では日本一をめざして奮闘。国立競技場の大舞台で、値千金の決勝点を沈めてみせた。長澤は来シーズンへ向けて「このチームはこれで終わりになる。中心選手もいなくなり、チームは大きく変わると思う。もう1回チャレンジャーの気持ちでやっていきたい」とキッパリ。「来年は3年生になるので、チームの攻撃の中心となると思うし、頑張っていきたい」と力を込めていた。日本一の座を経験した下級生MFが来季はさらなる責任感も背負い、チームをけん引していくつもりでいる。

(取材・文 片岡涼)
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