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[MOM562]四日市中央工FW浅野拓磨(2年)_2戦連続で奇跡の同点劇の主役に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 中京大中京2-2(PK1-4)四日市中央工 駒沢]

 2年生ストライカーが再び奇跡を起こした。四日市中央工のFW浅野拓磨(2年)は3日に行われた立命館宇治との3回戦で後半ロスタイムに劇的な同点ゴールを決めてチームを救ったが、この日も奇跡の同点劇の主役は彼だった。1-2で突入した後半ロスタイム、DF坂圭祐(1年)が前線へロングボールを放り込むと前半33分にPKを失敗しているMF國吉祐介主将(3年)が執念のヘッドでボールをDFとGKの間へそらす。「國吉さんがつないでくれると信じていた」という背番号16は右足ダイレクトでゴールへとねじ込み、敗退直前のチームに歓喜をもたらした。

 3回戦の劇的ゴールについては「(ゴール前の混戦で)ボールかDFの足か何か分からなかったけれど、何かが足に当たった。誰が入れたのか分からなかった」と振り返っていた浅野だが、この日は「今日はがっつり行きました」と手ごたえ十分の同点ゴール。「前半に決定機があったので外してしまって。迷惑をかけた。前回もそうですけど、うれしいよりも(いいボールが)こぼれてきただけ。自分の力で決めたのではなくて『みんなありがとう』というゴールです」と謙虚に喜んでいた。
 
 ただ3ゴールを決めた全国高校総体に続き、今大会で4戦連発を果たした得点力と突破力、そして土壇場で見せ付けている勝負強さはチームの国立進出に大きく貢献している。この日は前半32分にMF田村翔太(2年)のヒールパスに鋭く反応して決定的な右足シュートを放つと、後半には右サイドから抜群の突破力を披露。特に後半20分には右サイドでDF2人のプレッシャーを受けながらも強引に打開すると、さらに1人を外して決定的な右クロスを通した。潜在能力は間違いなく高い。

 樋口士郎監督も「自分の能力に自信を持ってほしい。凄いポテンシャルを持っている。(エース番号の)17番をつけて『小倉2世』としてやってほしいけれど、これがない」。実力があるだけに周囲の期待は大きいが、本人は「まだまだ。自分がエースと思ったことがない」と言う。ただ、「エースストライカーの番号だから17をつけたいというのはない。1年からつけている16を3年連続でつけたいと思っているし、自分の(憧れられる)番号にしたい」と愛着のある16を新たなエースストライカーの番号にすべく意気込んでいる。

 今後は再三ある決定機をよりゴールへと結びつけることだけ。そして自身も自信をつける。「自分達の力を出せば勝てるチームだと思う。頑張るだけ」という勝負強い「エース候補」が、次は国立で貴重なゴールを決めて「真のエース」となる。

(取材・文 吉田太郎)

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