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[選手権]四中工・浅野が6戦連発7得点で得点王、「優勝した上での得点王がよかった」

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[1.9 全国高校選手権決勝 市立船橋 2-1(延長)四日市中央工 国立]

 6戦連発で大会通算7得点。1試合1得点、大会得点王という目標は達成した四日市中央工FW浅野拓磨(2年)だったが、もう一つの夢だった全国制覇はならなかった。

「得点王を目指してはいたけど、優勝した上での得点王が一番よかった。悔しい気持ちもあるけど、もっと早く終わったチームのほうが多いし、ここまで来れたのは2チームだけ。みんなと最後の最後までできた幸せのほうが大きい」

 抜群のスピードと力強いドリブル突破、そして決定力。2年生ながら強烈なインパクトを残した2年生エースが開始1分で試合を動かした。MF田村大樹(2年)の右CKをDF西脇崇司(3年)が頭で落とし、FW田村翔太(2年)が右足でシュート。GKが弾いたボールを浅野が右足で蹴り込み、先制点を奪った。

「西脇さんが競り勝って、田村が押し込んで。そのこぼれがたまたま自分のところに来ただけ。自分は決めるだけだったし、その前にがんばってくれた西脇さん、田村のおかげです」

 08年度大会のFW大迫勇也、FW野村章悟(ともに鹿児島城西)以来、3大会ぶりとなる6戦連発で通算7得点目。試合前の時点で6得点で並んでいたチームメイトの田村翔を引き離し、得点ランキング単独トップに立った。

 前半は1-0のまま折り返したが、後半は徐々に運動量が落ち、市立船橋のパワーに押し込まれた。後半の45分間で与えたCKは8本。後半ロスタイム、そのうちの1本を決められ、同点に追いつかれた。

「前半はボールをつなげていたけど、途中から蹴り合いになって自分たちのサッカーができなかった。パワープレー、蹴り合いでは市船のほうが上。前でキープされて、CKを何度も取られて、何回も何回も防いでいたけど、来るたびにやばいなと思っていた」

 土壇場で追いつかれ、試合は延長戦へ。失点直後に田村翔がベンチに下がり、延長の20分間は前線で浅野が孤軍奮闘するしかなかった。それでも延長前半4分にはPA外から右足で絶妙なループシュート。GKのビッグセーブに阻まれたが、延長後半2分にもMF松尾和樹(2年)のスルーパスに抜け出し、フィニッシュまで持ち込んだ。必死に勝ち越しゴールを目指したが、延長後半5分に失点。「最後の最後で力負けした」とうなだれた。

 先発11人のうち3年生は3人だけ。浅野、田村翔の2トップを含め6人が2年生で、1年生も2人がスタメンに名を連ねる。惜しくも優勝には届かなかったが、来年度への期待も高まる。「来年、来年と言われるけど、今、もっともっとがんばって優勝したかった。このチームで優勝したい気持ちが強かった」。そう言って唇をかんだ“三重のネイマール”。「銀メダルと金メダルの大きさは倍以上違う」と、日本一への思いを強めた2年生エースが、来年度こそ得点王&優勝の夢を実現させる。

(取材・文 西山紘平)

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