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[MOM576]柏U-18MF中川寛斗(2年)_155cmのU-18代表「目立たず」主役に

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.4 千葉県クラブユース新人戦 柏U-18 3-1千葉U-18 日立柏総合G]

「(自分を)見ては欲しいですけれど、目立つ選手が何故、目立つのかとか、何故って思って欲しいんですよね。どうしてシュート打てたのかとか、何故その選手が注目されるプレーができたのかとか。それを掘り下げていくといつもボクがいるんだなと。ボクがいるからその選手が活きる。そういうところは見て欲しい」。登録155cm、48kg。U-18日本代表MF中川寛斗(2年)はタレント軍団、柏レイソルU-18の“陰の主役”だ。

 圧倒的な突破力でDFを1、2人かわしたり、ハットトリックでヒーローになるような選手ではない。ただ、背番号8は主力5人不在で快勝した柏においても欠かすことのできないようなタレントだ。常にパスコースをつくり出してさりげない1本のパスで味方を救い、数的優位をつくり出す。受けるパスが多少乱れても「小さい人は足元がないとダメ。テクニックが上手い人は何千、万もいるけれど、ボクは基本である止める蹴るとか努力している」という中川は、安定したトラップで難なくボールを処理してすぐさま攻撃を展開していた。よりDFのプレッシャーを受ける高い位置で再三正確にボールを捌き、攻撃を活性化。両チームで最も小柄ではあったが、柏の下平隆宏監督が「自分が生きる道を知っている」と評価するMFは味方のよさを引き出すことで存在感を放っていた。

 また中川は「ひとりが手を抜いたらチームは崩れちゃう。チームが動かなくなるので責任を持ってやっている」と守備も徹底。そして右サイドをパスワークで攻略した3点目の起点になるなどチームを支えたMFは、攻守両面で最後まで足を止めることなく走り続けていた。

 技術、運動量に加えて指揮官が「一話すと十返ってくる」というほど、頭の回転が早く、先を読む力も高い。特別なスピードやフィジカルも持ち合わせてはいないが、自分の武器でタレント軍団の主力となり、年代別代表にも上り詰めたMFは、同じような小柄な選手に勇気を与えるような存在だ。「目立つことを意識するのではなく、チームメートの長所をいかに出せるか。陰ながら、『ボクがいなかったらどうなるか』というプレーヤーになりたくて。目立てない分、誰かの役に立ちたいとか、それでチームに貢献できたらいいことだなと考えている」

 今年は高校最終学年。小学4年からプレーしている柏の下部組織でプレーするのも最後の年となる。目標はもちろんトップチーム昇格だ。簡単なノルマでないことは分かっているが「この1年で9年分の夢と言うか、この1年で決まるから、今まで以上に勝負の年になると思う。努力も絶やさず、何も変えないで夢を純粋に忘れないで、サッカーを楽しんで、その結果プロになれたらうれしい」。目立たなくても、柏に強さをもたらす大きな存在となる。

(取材・文 吉田太郎)

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