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近賀の2年ぶりゴールで先制も…なでしこはアメリカに追いつかれドロー

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[4.1 キリンチャレンジ杯 日本1-1アメリカ ユアスタ]

 キリンチャレンジ杯が1日、ユアテックスタジアム仙台で行われ、日本女子代表(なでしこジャパン)はアメリカ女子代表と対戦した。日本は前半32分、DF近賀ゆかりのゴールで先制したが、後半27分に追いつかれ、1-1の引き分けに終わった。キリンチャレンジ杯は3日にフクダ電子アリーナでアメリカ対ブラジルが行われ、日本は5日にホームズスタジアム神戸でブラジルと対戦する。

 昨年7月17日の女子W杯決勝でPK戦の末に下し、今年3月5日のアルガルベ杯でも1-0で勝ってFIFAランキング1位のアメリカに“連勝中”のなでしこ。体調不良のMF澤穂希、負傷のDF岩清水梓という主力2選手を欠く中、CBではDF矢野喬子、ボランチではDF田中明日菜を起用した。アルガルベ杯は招集外だった矢野は昨年9月11日の五輪アジア最終予選・中国戦(1-0)以来の先発となった。アルガルベ杯のアメリカ戦からはGKが福元美穂から海堀あゆみに代わったほか、FW安藤梢に代わってMF川澄奈穂美が2トップの一角で先発した。
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 試合は静かな立ち上がりを見せた。日本はしっかりボールをつないでゲームを組み立てるが、ビルドアップでミスも目立ち、なかなかリズムに乗れない。前半11分、近賀のロングフィードに反応した大野がPA内に走り込むが、GKが一歩早くボールを抑える。その直後、川澄の横パスを受けたMF宮間あやのミドルシュートもGKにキャッチされた。

 日本のパス回しに揺さぶられるアメリカは攻撃の糸口をつかめず、セットプレーからチャンスをうかがう。前半14分、右CKからショートコーナーでつなぎ、MFオライリーのクロスにDFビューラーが頭で合わせたが、ここはGK海堀がキャッチした。

 ボールポゼッションを高め、徐々にアメリカを押し込んでいくなでしこは前半22分、鮮やかなパス回しで左サイドを攻略。川澄とのワンツーでPA内に切れ込んだ宮間がゴール前に折り返すが、田中の前でDFがカットし、惜しくもゴールにはつながらなかった。

 前半23分には宮間のショートコーナーから川澄が右足でミドルシュート。同27分、宮間のFKをFW永里優季が頭でそらすと、こぼれ球をMF阪口夢穂が狙ったが、シュートはいずれも枠を外れた。

 完全に試合の主導権を握り続ける日本は、その流れどおりに先制点を奪う。前半32分、川澄の絶妙なループパスから近賀がPA内右に抜け出し、ゴール前に折り返すと、走り込んだ永里の手前でDFがカット。こぼれ球をGKが弾いたが、素早く詰めた近賀が左足で蹴り込み、ゴールネットを揺らした。

 10年5月8日のメキシコ戦(4-0)以来、約2年ぶりとなる近賀の国際Aマッチ5点目で先制したなでしこジャパン。アメリカも前半41分、ロングボールから俊足を生かして最終ラインの背後を取ったFWモーガンがPA内に進入し、左45度から左足で鋭いシュートを放つが、わずかにゴール右へ。試合内容でも上回った日本の1点リードで前半を折り返した。

 後半に入ると、徐々にアメリカが圧力を強め、日本を押し込んでいく。それでも日本の守備陣は高い集中力を保って、これを跳ね返す。後半8分にはMFボックスのロングフィードからモーガンがPA内に走り込むが、矢野がスライディングタックルでCKに逃れた。同12分、GK海堀のキックミスをモーガンがカット。決定的なピンチを招くが、モーガンのクロスは味方に合わずに流れていき、難を逃れた。

 日本は後半16分、永里に代えて安藤を投入。直後の17分には宮間からのスルーパスを受けた川澄が右足ミドルを狙うと、鋭い弾道のシュートは惜しくもゴール左へ外れたが、少しずつなでしこが押し返していく。同22分にはDF鮫島彩に代わってDF有吉佐織が左SBに入った。

 後半24分、右サイドからドリブルで仕掛けたMF大野忍のスルーパスに川澄が反応。GKと1対1の絶好機を迎えたが、右足のシュートはGKの好守に阻まれた。1分後には宮間の右クロスをDF熊谷紗希が頭で折り返し、こぼれ球を阪口がシュート。これも決定的な場面だったが、ゴール上に外れた。

 チャンスを生かせず、2点目を決め切れなかった日本に対し、アメリカは後半27分、PA手前でロイドがパスを受けると、阪口がカットしようとしたボールがゴール前にこぼれ、モーガンが左足でゴール右にねじ込む。鮎貝志保副審の旗は上がっていたが、李娟主審が鮎貝副審に確認し、ノットオフサイドとして得点を認めた。

 徐々に運動量が落ち、ミスも増え始めた日本は後半41分、田中と大野に代えてMF宇津木瑠美、FW菅澤優衣香を投入。最後の体力を振り絞り、勝ち越しゴールを目指したが、後半45分、宮間の左CKのセカンドボールを狙った川澄のミドルシュートもゴール上へ。そのまま1-1で試合終了を迎えた。

(取材・文 西山紘平)

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