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[選手権]“現役ラスト”で2戦連発、忍穂井が鹿島学園4強に貢献(鹿島学園vs大津)

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[注目選手クローズアップ]

[1.5 第87回全国高校サッカー選手権準々決勝 鹿島学園(茨城) 2-1 大津(熊本) 三ツ沢]

 この日鹿島学園(茨城)を救ったのは決勝FK弾を決めたMF小谷駿介(3年)だったが、チームを乗せたのはFW忍穂井(おしほい)大樹(3年)だった。前半2分、右サイドを打開したMF小黒翔太(3年)からのラストパスを冷静に右足で沈めて先制ゴール。準々決勝までの3試合で10得点を挙げて前評判の高かった大津の隙を突く「電光石火」とも言える先制弾。「よっしゃーと思った」と忍穂井も振り返る一撃でチームは間違いなく勢いに乗った。

 3回戦の情報科学(大分)戦に続く2戦連発を決めたエースは豊富な運動量を活かした守備でも貢献。また果敢にチャレンジしたドリブル突破で得たファウルが小谷の決勝ゴールにつながった。166cmの小柄なストライカーはチームにとって欠かせない存在だ。
 だが、チームを引っ張る快足アタッカーは今大会限りでプレーヤーとしてのサッカーは辞める決意をしているのだという。「高校サッカーで辞めようと。コーチングの勉強をしたいんです。監督として高校選手権、国立に戻ってきたい」。
 進路先である東海大学ではコーチングの勉強をする。夢は同大体育学部でコーチング理論を専攻し、鹿島学園を全国4強まで導いていた鈴木雅人監督と同じ道を辿ることだ。「監督は1人1人に本当に温かい。自分は本当にヘタで2年まではBチームでした。でも監督は平等に指導してくれた」。鈴木監督から勢いと前線からのチェイシングの才能を見出された忍穂井はわずかな期間でチームのエースに成長。全国4強進出の原動力となった。
 選手全員に温かく接する、そして尊敬する監督のようになりたい。全国で指揮をとりたい。将来の夢にまい進するために“現役ラスト”の今大会で悔いの残るプレーはしたくはない。

 開幕戦で国立のピッチに立った。加えて全国の舞台で2戦連発。そしてチームは全国4強と、夢である監督になる前に選手としての肩書きがどんどん大きくなることについて「いやー、本当そうっすね」と満面の笑顔を見せていた忍穂井。ただ、将来の前にまずは今。チームの優勝のために、長くてもあと2試合となった、プレーヤーとしてのサッカー人生を全力で走りきるつもりだ。

<写真>前半2分、先制ゴールを決めた鹿島学園・忍穂井
(取材・文 吉田太郎)

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